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ダイソーの桜の造花はいつ買うか、安っぽく見せない飾り方

三月十二日、売り場の棚には値札だけが残っていた。
桜の造花、と印字された紙が三枚。その下は空。隣の棚はもう五月人形の飾りに切り替わっていた。
ナナさんは棚の前で、スマホの写真を見返しながらしばらく立っていたという。共用リビングを飾る計画を、二月から温めていた。
「まだ桜も咲いてないのに、店から先に散ってるんですよ…」
百円ショップの季節商品は、季節の少し前に生きている。この一点を知っているかどうかで、春の飾りつけの成否が決まる。

目次

三月に探すと、もう遅い

並ぶのは年明け、消えるのは彼岸の前

桜のモチーフが店頭に出はじめるのは、だいたい一月の下旬。早い店では正月飾りが下がった直後に並ぶ。
二月に入ると特設コーナーができて、造花もラッピングも紙皿も一斉にそろう。ここが最も選べる時期。
そして三月の中旬には、入学と端午の節句の商材へ入れ替わっていく。本物の桜が咲くころ、店の桜は消えている。
買うなら二月。飾るのが三月末でも、仕入れは早めに。この時間差だけ頭に入れておけば、空の棚を眺めることはなくなる。

売り場はインテリアの棚、季節コーナーとは限らない

探す場所も迷いやすい。造花はインテリア用品のあたりにまとまっていて、大きな店だと四棚ぶんほど並ぶ。
ところが季節ものの桜は、そこではなく入口近くの特設台に置かれていることがある。両方を見ないと見落とす。
店舗によって品ぞろえがかなり違うのも百均の常。ひとつの店で見つからなかったからといって、その年に入荷していないとは限らない。大型店をひとつ回ると、たいてい解決する。

百円の枝と、三百円の枝は別物

長さと花付きの差

同じダイソーの桜でも、価格帯で完全に別のものだと思ったほうがいい。
百円のものは全長三十センチ前後の小枝やブッシュ。机の上や玄関の小さなスペースに向く。
三百円のものになると、全長百十センチほどの長い枝が入る。花付きのいい枝が四本まとまって入っているものもあって、量あたりの単価では百円のものより安くなる。
リビングの隅に立てる、大きめの壺に挿す。こういう使い方をするなら、最初から三百円の棚を見たほうが早い。

色味とテカリの差

価格差がいちばん出るのは、質感。
百円帯の花びらは、ピンクが強めで表面につやがある。蛍光灯の下で光を返して、遠目にもプラスチックだとわかる。
三百円帯には、淡いピンクやアプリコットのようなくすんだ色があり、花の形もほわっとしている。触るとわずかに起毛していて、光を吸う。
色の淡さと、光を返さないこと。造花が本物に近づくかどうかは、ほぼこの二つで決まる。

安っぽく見える原因は、三つに絞れる

光が当たると、花びらが白く飛ぶ

天井の照明が真上から当たる位置に置くと、つやのある花びらが白く光ってしまう。
置き場所を、窓からの光が横から入る場所に変える。あるいは間接照明のそばへ。それだけで質感の印象が変わる。
撮影に使う場合はもっと露骨で、真上からの光は避けて、レースのカーテン越しの自然光を横から当てる。テカリが消える。

本数が足りていない

一本だけ花瓶に挿すと、どうしても寂しい。枝の間隔が広く、花の密度が低いから。
本物の桜が美しく見えるのは、視界が花で埋まるから。造花で同じ印象を出したいなら、密度をつくるしかない。
百円の枝なら五本から七本。まとめて根元を輪ゴムで縛ってから器に挿すと、一本ずつ入れるより格段にまとまる。三百円のものでも二束は欲しい。
一本三百円が二つで六百円。生花で同じボリュームを買えば、その何倍もかかる。ここは投資してよかったと思う場面。

枝がまっすぐすぎる

箱から出したままの枝は、不自然なほど直線的で、花の向きもそろっている。
中にワイヤーが入っているので、手で曲げられる。根元から緩やかに湾曲させて、途中でわずかに折る。枝先を少し下げる。
花びらも同じで、指で軽く引っ張ってシワをつける。花の向きをばらばらにする。整いすぎているものほど、崩すと本物らしくなる。
ここに五分かけるかどうか。ナナさんの言葉を借りると、この五分が百円を三百円に見せる。

化けさせる、もう二つの手

緑を三割混ぜる

花だけで構成すると、どうしても作りものの気配が出る。
フェイクグリーンを、花に対して三割から四割ほど加える。一か所にかたまらないよう散らして入れる。葉の緑が入るだけで、ピンクの主張が落ち着く。
色を増やしすぎるのは逆効果。桜なら、淡いピンクと白と緑。三色で止めておくとまとまる。

器の口を狭くする

意外な落とし穴が花瓶。口の広い器に数本挿すと、枝が四方へ倒れて隙間だらけになる。
口の細いガラス瓶や、酒の空き瓶。倒れにくいうえ、枝が自然に立ち上がる。
どうしても口の広い器を使いたいなら、丸めたワイヤーネットを中に入れて土台にする。茎が引っかかって向きが固定される。吸水スポンジの代わりになる。
器そのものを陶器や竹に変えるのも効く。プラスチックの花に、プラスチックの器を合わせない。

壁に貼る、床に撒く、その前に

テープと壁紙の相性

枝を壁に這わせたり、花びらを窓に貼ったり。撮影用の背景としてはよくやる手。
賃貸なら、貼る前に一か所で試す。マスキングテープでも、長く貼りっぱなしにすると糊が残り、剥がすときに壁紙の表面を持っていくことがある。
ダイスケさんは共用リビングの壁に一か月貼りっぱなしにして、剥がした跡に細長い白い筋を残した。管理会社への連絡が要る事態になり、しばらく気まずそうにしていた。
貼るなら期間を決める。二週間で剥がす、と最初に決めておくのが安全。

花びらは掃除機で吸うと詰まる

散らした花びらを片づけるとき、掃除機を向けたくなる。
薄い布や樹脂の花びらはノズルに張りついて、奥で詰まる。ヘッドを外して掻き出す羽目になる。
粘着ローラーで転がすか、ほうきで集めるほうが早い。撒く前に、片づけ方まで決めておくと後悔しない。

来年も使うために

色が抜けるのは、箱の中ではない

造花が色あせる最大の原因は日光。窓辺に飾りっぱなしにすると、ひと春でピンクが白っぽく退色する。
飾る場所を直射日光の当たらない位置にするだけで、二年、三年と持つ。
逆に、しまい込むぶんには色は変わらない。心配なのは形のほうで、押しつぶすと花びらの向きが戻らなくなる。

埃の落とし方

しまう前に、埃を落としておく。
柔らかい筆や、化粧用のブラシで撫でる。細かい部分はドライヤーの冷風。水拭きすると花びらの色が落ちたり、接着が緩んだりする。
保管は大きめの紙袋に、枝を立てるようにして入れる。ビニール袋で密閉すると湿気がこもって、翌年に取り出したときにかび臭くなることがある。
ナナさんは去年の二月に買った枝を、今年もそのまま使った。玄関の壺に七本。訪ねてきた友人が本物だと思って顔を近づけ、鼻先が花にぶつかって、二人で笑ったらしい。

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この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

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