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セリアのイヤホンはパソコンで使えるか|330円で試した本音

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会議の五分前、右耳から音が消えた

画面共有の準備をしながら、イヤホンを耳に差した。
左は鳴る。右が沈黙。ケーブルをよじると、一瞬だけ戻って、また消える。
今から買いに行けるのは、どこだ
時計は十三時五十五分。徒歩四分のところにセリアがある。走った。
戻ってきて、封を切って、挿した。会議開始の四十秒前。
両耳から、担当者の声が普通に聞こえてきた。汗が引くまで、そのまま黙って座っていた。

シェアハウスに住んで三年、住人の誰かが百円ショップのイヤホンを買ってくる場面を何度も見た。
急場をしのぐ道具として、これがどこまで通用するのか。三年ぶんの目撃と、自分で試した記録をまとめる。

用途を絞れば、十分に使える

言い切る。音声通話と、動画の音を聞く用途なら、百円ショップのイヤホンでパソコンは足りる。
音楽をじっくり聴く、動画を編集する、ゲームをする。この三つには向かない。
価格が三十分の一なら、性能も三十分の一。それでも用途が合えば、道具として成立する。

ただし、端子の形で買い間違える

いちばん多い失敗がこれ。
パソコンの穴の数と、イヤホンの端子の線の本数。この二つが噛み合わないと、音が出なかったり、マイクが使えなかったりする。
先に確認する場所がある。

買う前に、自分のパソコンを見る

穴が一つか、二つか

ノートパソコンの側面を見る。
丸い穴が一つだけなら、それは音声の入出力が一体になった口。イヤホンとマイクを一本のケーブルで扱う形式。
穴が二つあって、片方にヘッドホンの絵、もう片方にマイクの絵が描かれているなら、別々に挿す形式。
うちの住人六人のパソコンを確認したら、四台が一つ穴、二台が二つ穴だった。新しい機種ほど一つ穴が多い。

端子の黒い線を、数える

イヤホンの先端の金属部分。そこに黒い輪が入っている。
線が二本のものは、音を出すだけ。マイクは付いていない。
線が三本のものは、マイク付き。一つ穴のパソコンで通話に使える。
セリアの棚には両方ある。パッケージの表示で見分けるより、実物の端子を見たほうが早い。透明な窓から先端が見える商品が多い。
うちの住人は、線を数えずに買って、会議でマイクが使えず、結局スマホから参加していた。

二つ穴のパソコンで、マイク付きを使うなら

一本のケーブルを二つの穴に分ける、変換のアダプタが必要になる。
これも百円ショップに置いてあることがある。ただ、在庫が安定しない。
うちは三軒回って、二軒目にあった。売り場はイヤホンの棚ではなく、パソコン関連の小物のところ。
逆に、一つ穴のパソコンで、二本に分かれたイヤホンを使う場合も変換が要る。この向きのアダプタは百円ショップでは見つけにくかった。

実際に使った、三百三十円のイヤホン

音質は、通話には足りる

買ってきたのは、マイク付きで三百三十円のもの。
人の声は、はっきり聞こえる。子音がつぶれることもない。会議で困る場面はなかった。
音楽を流すと、低い音がほとんど出ない。ベースの動きが、輪郭だけ薄く聞こえる。
高い音は逆に強い。シンバルがしゃりしゃりと耳に刺さる。三十分聴いていたら、こめかみが重くなった。
用途を選べば問題ない、というのはこういう意味。

マイクは、相手に届く

これは意外と健闘した。
会議で三人と話して、聞き返されたのは一度だけ。
録音して聞き返すと、こもった音になっている。放送に使えるレベルではない。ただ、内容が伝わるかどうかで言えば、伝わる。
息がマイクに当たる位置にあるので、口の近くに寄せすぎると、ぼふっという音が入る。少し下にずらすと消えた。

ケーブルが、絡まる

細くて硬い。鞄に入れると、次に出したとき必ず結び目ができている。
これが地味にストレス。会議前に三十秒かけてほどく時間が発生する。
うちは机の引き出しに置きっぱなしにして、持ち歩かない運用に切り替えた。
巻いて留める面ファスナーのバンドも、同じ店で売っている。合わせて買うと解決する。

どこが安物なのか、分解して分かったこと

ケーブルの中の線が、細い

壊れた一本を切ってみた。
中の銅線が、髪の毛ほどの太さしかない。それが数本、より合わさっているだけ。
市販の千円台のイヤホンと比べると、明らかに細い。断線しやすい理由がここにある。
うちの住人が使った百円ショップのイヤホンは、平均して二か月ほどで片耳が鳴らなくなった。

断線するのは、二か所に決まっている

端子の付け根と、左右に分岐する部分。
この二か所に、曲げの力が集中する。
分岐部分は、耳から外すときに引っ張られる。端子の付け根は、パソコンに挿したまま本体を動かすと曲がる。
外すときは、ケーブルではなく端子の樹脂部分をつまんで抜く。この癖をつけるだけで、寿命が倍近くなった。

耳に入れる部分の素材が、硬い

シリコンのイヤーピースが硬めで、長時間つけていると耳の内側が痛くなる。
一時間の会議で、外したあとに耳を触ると熱を持っていた。
手持ちの別のイヤホンのイヤーピースが合えば、付け替えられる。うちは壊れたイヤホンから外して移植した。装着感がかなり改善した。

買うなら、この使い方

予備として、机に一本

これが最適解だと思う。
メインのイヤホンが壊れたとき、会議の直前に慌てないためのもの。
三百三十円で、あの焦りが回避できるなら安い。うちは共用の作業スペースに、封を切っていないものを一本置いてある。
使ったら補充する決まり。三年で四回、誰かが助かっている。

音楽用には、素直に別を買う

毎日一時間以上音楽を聴くなら、二千円台のものを買ったほうがいい。
低音が出る。耳が痛くならない。ケーブルが柔らかい。断線しにくい。
百円ショップのものを二か月ごとに買い替えると、一年で二千円近くになる。金額でも逆転する。
うちの住人でこれを計算した人が、四本目でやめて千九百円のものを買った。二年経った今も現役。

店で確認すべき三点

棚の前に立ったら、見るのは三つ。
端子の黒い線の本数。マイクが付いているかどうか。ケーブルの長さ。
長さは意外と重要で、一メートルのものと一メートル二十センチのものがある。デスクトップのパソコンだと、本体が床に置いてあると届かない。
うちの住人が短いものを買って、床のパソコンに挿したまま椅子に座れず、前かがみで会議に出ていた。あの姿勢、見ていて腰が心配になった。

三年で残った結論

百円ショップの強みは、距離と時間

音質でも耐久性でもない。
今すぐ、歩いて数分で、確実に手に入る。この一点。
通販なら翌日。家電量販店なら電車。そのあいだ、会議は待ってくれない。
三百三十円で買っているのは、イヤホンではなく、その日を乗り切る時間なんだよね。

壊れたら、素直に捨てる

直そうとしない。ケーブルの中の線が細すぎて、はんだ付けしても保たない。
うちの住人が一度修理を試みて、二時間かけて、翌日また切れた。
分別して捨てる。自治体によって扱いが違うので、確認する。

先週、住人のユイがパソコンの前で頭を抱えていた。
イヤホンが鳴らない。十分後に面接。
引き出しから、封を切っていない一本を出して渡した。
「これ、使える?」
使えるよ、声は。
彼女は封を破って、端子を挿して、片耳ずつ確認した。
面接が終わったあと、そのイヤホンは机の上に置かれていた。パッケージの空袋の横に、きちんと巻かれた状態で。

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この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
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