共用の冷凍庫を開けた住人が、うわっと声を上げた。冷凍庫の中が、なんだかしっとり湿っている。アイスが柔らかくなって、袋の冷凍野菜も、握るとぐにゃっとやわらかい。え、冷凍庫壊れた?
一気に血の気が引いた。作り置きの冷凍ストックも、保冷剤も、みんな溶けかけている。共用だから、住人みんなの冷凍食材が、まとめて危機にさらされていた。全部ダメになったかも
頭の中で、買い直しの金額がちらつく。ところが、慌てて中身を確かめる前に、まずやるべきことがあった。冷凍庫が溶けてるとき、いきなり慌てるのではなく、なぜ溶けたのかを切り分けることが、被害を最小限にする鍵だった。
アイスも冷凍食品も、溶けかけていた
きっかけは、その溶けかけた庫内だった。冷凍庫を開けたら、中がしっとり湿って、アイスも冷凍食品もやわらかい。故障を疑って、頭が真っ白になった。でも、原因は一つとは限らない。まず、何が起きたのかを見極める必要があった。
庫内が湿って、食材がやわらかい
冷凍庫の異変は、まず庫内の湿りと、食材のやわらかさに表れた。カチカチだったはずのアイスが、押すとへこむ。冷凍野菜の袋が、握るとぐにゃっとする。庫内の壁も、うっすら濡れている。(ちゃんと冷えてない)いつもの、キンと張り詰めた冷たさがない。冷凍庫が、冷やす力を失いかけているサインだ。この湿りと、食材のやわらかさは、庫内温度が上がっている証拠だった。冷凍を保つべき温度を、下回れなくなっている。何が原因でこうなったのか、それをまず突き止めなければ、対処のしようがない。溶けているという事実の裏に、必ず原因がある。
故障かどうか、まず切り分ける
冷凍庫が溶けていると、すぐに故障を疑いたくなる。でも、慌てて故障と決めつける前に、原因を切り分けることが大事だ。溶ける原因は、故障だけではない。ドアの閉め忘れ、詰めすぎ、置き場所の問題など、故障以外の理由も多い。まず、これらの原因を一つずつ確かめて、故障なのか、それとも別の理由なのかを見極める。(壊れたと決める前に、確かめよう)原因が分かれば、対処も変わる。故障でなければ、簡単な対処で元に戻ることもある。溶けているからといって、いきなり修理や買い替えを考えるのは早い。まず、なぜ溶けたのかを、落ち着いて切り分ける。ここが、対処の出発点になる。
溶ける原因の多くは、冷気が回っていないこと
冷凍庫が溶ける原因を切り分けると、その多くは、故障ではなく、冷気がうまく回っていないことにたどり着く。ここは言い切る。まず疑うべきは、故障より先に、冷気の流れだ。
ドアの閉め忘れや、開けっぱなしが多い
いちばん多い原因が、ドアの閉め忘れや、半開きの状態だ。冷凍庫のドアが、きちんと閉まっていなかったり、わずかに開いていたりすると、そこから冷気が逃げて、外の暖かい空気が入る。庫内温度が上がり、食材が溶ける。共用の冷凍庫だと、誰かが閉め忘れたり、ドアに物が挟まって半開きになっていたりすることもある。あの溶けかけた庫内も、前に使った人がドアをしっかり閉めていなかった可能性がある。まず、ドアがちゃんと閉まるか、パッキンに隙間がないかを確かめたい。ドアの閉まりが甘いだけで、冷凍庫は冷やす力を失う。開けっぱなしや半開きは、溶ける原因の筆頭だ。ドアの状態を、最初に確認する。
詰め込みすぎると、冷気が行き渡らない
もう一つ多いのが、詰め込みすぎだ。冷凍庫にぎゅうぎゅうに食材を詰めると、庫内の冷気の通り道が塞がれて、冷気が全体に行き渡らなくなる。冷気が回らないと、庫内に冷えムラができて、一部の食材が溶ける。特に、冷気の吹き出し口を食材で塞いでしまうと、冷気そのものが出にくくなる。共用の冷凍庫は、みんなの食材でいっぱいになりがちだから、この詰め込みすぎが起きやすい。冷気が通る隙間を確保して、吹き出し口を塞がないようにしたい。詰め込みすぎは、冷蔵庫とは逆で、冷凍庫では冷気を妨げる。ただし、冷凍庫は、ある程度詰まっているほうが、食材どうしが保冷しあって効率がいい面もある。塞がず、かつ隙間を作りすぎない。このバランスが大事だ。
それでも冷えないなら、置き場所や霜を疑う
ドアも詰め込みも問題ないのに冷えない場合は、次の原因を疑う。冷凍庫の置き場所や、庫内にたまった霜だ。これらも、冷える力を落とす。
放熱スペースが足りないと、冷えが落ちる
冷凍庫や冷蔵庫は、庫内を冷やすために、外へ熱を逃がしている。この熱を逃がすスペースが、壁にぴったりくっついていたり、周りに物が詰まっていたりして足りないと、熱がこもって、冷やす効率が落ちる。庫内が十分に冷えなくなり、食材が溶ける原因になる。冷凍庫の周りに、放熱のための隙間が確保されているかを確かめたい。壁との間や、上部に、余裕があるか。特に、夏場は、周りの温度も高いから、放熱スペースが足りないと、冷えが追いつかなくなる。冷凍庫を、壁や物にぴったり寄せすぎていないか。放熱の妨げが、冷えの低下を招いていることもある。周りの隙間を、見直したい。
霜がたまると、冷える力が弱まる
庫内に霜がびっしりたまっているのも、冷える力を弱める原因だ。冷凍庫の壁や、冷気の吹き出し口に、分厚い霜がつくと、その霜が冷気の流れを妨げたり、冷やす部分を覆ったりして、冷却効率を落とす。ドアの開け閉めが多かったり、開けっぱなしにしたりすると、入ってきた湿気が霜になって、たまりやすい。霜が分厚くなっているなら、一度電源を切って霜を溶かす、霜取りが必要になることもある。霜がたまると、冷凍庫は本来の冷やす力を出せない。庫内に、分厚い霜がついていないかを確かめたい。霜取りをするだけで、冷えが復活することもある。霜は、冷える力を静かに奪っていく。
溶けた食材は、慌てて再冷凍しない
原因を切り分けている間、溶けた食材をどうするかも問題だ。ここで大事なのが、溶けた食材を、慌ててそのまま再冷凍しないことだ。溶けた食材には、注意が要る。
一度溶けたものを凍らせ直すと、傷みやすい
溶けた食材を、また凍らせ直せば元に戻る、と考えがちだが、そう単純ではない。一度溶けた食材は、溶けている間に、菌が増えたり、傷みが進んだりしていることがある。それを再冷凍しても、増えた菌がなくなるわけではない。凍らせ直したものを後で食べる時に、傷んでいる恐れがある。特に、完全に溶けて、長時間ぬるい温度にさらされた食材は、再冷凍を避けたい。溶けて、また凍らせる、を繰り返した食材は、品質も安全も落ちる。慌てて全部を凍らせ直すのではなく、一つずつ状態を見極めることが大事だ。再冷凍は、リスクを伴う。溶けたものを、無条件に凍らせ直さない。
まだ冷たいものと、完全に溶けたものを分ける
溶けた食材の処理は、状態によって分けたい。まだ芯が凍っていて、冷たさが残っているものと、完全に溶けて、ぬるくなってしまったものとでは、扱いが違う。まだ十分に冷たく、一部凍っているものは、比較的傷みが少ない可能性がある。一方、完全に溶けて、長時間ぬるい状態だったものは、傷んでいる恐れが高い。完全に溶けたものは、無理に再冷凍せず、早めに火を通して食べるか、状態を見て処理を判断したい。まだ冷たいものと、完全に溶けたものを分けて、それぞれ扱う。すべてを一律に凍らせ直したり、一律に捨てたりするのではなく、状態を見極めて分ける。この切り分けが、無駄を減らし、安全も守る。
復旧してからも、しばらく様子を見る
原因に対処して、冷凍庫が冷え始めても、すぐに安心はできない。本当に直ったのか、しばらく様子を見る必要がある。復旧の確認も、大事な工程だ。
冷え直すか、しばらく確かめる
ドアを閉め直したり、詰め込みを減らしたり、霜を取ったりして対処した後は、冷凍庫がちゃんと冷え直すか、しばらく確かめたい。対処してすぐに食材を戻すのではなく、少し時間を置いて、庫内が本来の冷たさを取り戻すかを見る。庫内が冷えて、霜が張るくらいに戻れば、原因は故障ではなく、冷気の問題だったと分かる。逆に、対処しても冷えないなら、故障の可能性が出てくる。すぐに結論を出さず、冷え直す様子を見守る。この確認をすることで、故障かどうかの最終判断ができる。冷え直せば一安心、冷えなければ次を考える。焦らず、庫内の回復を確かめたい。
対処しても冷えないなら、故障を疑う
ドアも、詰め込みも、放熱も、霜も確かめて対処したのに、それでも冷凍庫が冷えないなら、いよいよ故障を疑う段階だ。冷気を作る部分そのものが、壊れている可能性がある。ここまで来たら、無理に使い続けず、修理や買い替えを検討したい。故障の場合、素人が直せる範囲を超えていることが多い。原因を一つずつ切り分けた末に、どの対処でも冷えないと分かって初めて、故障と判断する。最初から故障と決めつけるのではなく、他の原因を一通り確かめてから、故障にたどり着く。この順番を踏めば、直せるものを見逃さずに済むし、本当に故障なら、次の手を打てる。切り分けの果てに、故障が残る。
結局、原因を切り分けてから対処すれば慌てない
冷凍庫が溶けてるとき、どうするか。突き詰めて分かったのは、慌てて故障と決めつけたり、再冷凍したりする前に、原因を切り分けることが大事だ、ということだった。溶ける原因の多くは、ドアの閉め忘れや詰め込みすぎで、冷気が回っていないこと。それでも冷えないなら、放熱スペースや霜を疑う。溶けた食材は、慌てて再冷凍せず、まだ冷たいものと完全に溶けたものを分けて扱う。対処後は、冷え直すか様子を見て、それでも冷えなければ故障を疑う。原因を一つずつ切り分けてから対処すれば、慌てずに、被害を最小限にできる。
冷気の流れを確かめれば、たいてい元に戻る
あの日、溶けかけた冷凍庫を前に慌てた住人たちは、まず原因を切り分けた。確かめると、ドアに食材の袋が挟まって、わずかに半開きになっていた。ドアをきちんと閉め直し、詰め込みすぎていた食材を少し整理して、冷気の通り道を作った。しばらく様子を見ると、庫内が冷え直して、また霜が張り始めた。故障ではなかったのだ。まだ芯が凍っていた食材は、そのまま使い、完全に溶けていたものは、早めに火を通して食べた。全部がダメになったと思った、あの絶望は、原因を切り分けたことで、大半が杞憂に終わった。冷凍庫が溶けていても、すぐに壊れたと決めつけなくていい。ドアの閉まり、詰め込み、放熱、霜。冷気の流れを一つずつ確かめれば、たいていは元に戻る。慌てて再冷凍したり、買い直しに走ったりする前に、まず原因を切り分ける。それだけで、溶けた冷凍庫は、多くの場合、救えるのだ。

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