届いたサウンドバーが、テレビの前でつっかえた
映画をいい音で観たくて買ったサウンドバー。いざテレビの前に置こうとしたら、テレビの脚に当たって奥まで入らない。無理やり手前に置いてみたら、今度は画面の下のほうが隠れて、字幕が読めない。
都内のシェアハウスに住むMさん(20代)の話だ。「共用リビングのテレビ用に、みんなで出し合って買ったんです。なのに置けない。しかも置いたら置いたで、テレビのリモコンが効かなくなって。音量を変えようとポチポチ押しても無反応で、変な汗が出ました。これ、買う前に測っておけばよかったやつだって」。
サウンドバーがテレビ台に置けない。検索する人は、Mさんのように買ってから設置でつまずいていることが多い。先に言う。置けないからといって、買い替える必要はない。多くの場合、テレビをかさ上げすれば解決する。そもそも置けない原因は3つに分かれるので、まずそれを切り分けて、それぞれの直し方を見ていく。
「置けない」には、3つのパターンがある
置けないと一口に言っても、困りごとの中身は違う。大きく3つに分けられる。
ひとつは、サウンドバーの高さがテレビ画面の下端より高くて、画面の下が隠れるパターン。字幕やニュースのテロップ、ゲームの表示が見えなくなる。数センチの差でも、毎日使うと地味にストレスになる。
ふたつめは、テレビの脚やスタンドの形に干渉して、物理的に置けないパターン。脚の間隔が狭かったり、脚が前に出ていたりして、置きたい場所に収まらない。
みっつめが、サウンドバーがテレビのリモコン受光部をふさいで、リモコンが効かなくなるパターンだ。Mさんが直面したのは、この二つめと三つめが同時に起きた状態だった。自分の困りごとがどれなのかが分かると、対処が決まる。
最も簡単な解決は、テレビをかさ上げすること
テレビの足の下に、かさ上げ台を置く
3つのパターンの多くを、一度に解決できる方法がある。テレビを高くすることだ。
テレビの脚の下に、かさ上げ台を置く。テレビの高さをあげる専用の台座が売られていて、10センチ角で高さ6センチほどのものなどがある。これをテレビの足の下に敷くと、テレビ全体が持ち上がる。
テレビが高くなれば、サウンドバーが画面の下端にかからなくなり、字幕が隠れる問題が消える。テレビの脚とサウンドバーの干渉も、テレビが上がったぶん解消される。そして受光部の位置も上がるので、リモコンが効きやすくなる。3つの困りごとに、まとめて効く。テレビを上げると、選べるサウンドバーの幅も一気に広がるので、今のテレビを長く使う予定なら、これが最も有力な対策になる。
スペーサーで、サウンドバーを浮かせる手も
テレビではなく、サウンドバー側を持ち上げる方法もある。
スペーサーや小さな台座をサウンドバーの下に置くと、テレビ台とサウンドバーの間に隙間ができて、テレビの脚が当たらないようにできる。台座の厚みは、脚とサウンドバーの隙間に合わせて選べる。ただし、この方法は大型のテレビには対応していないものが多いので、テレビのサイズを確認してから使いたい。かさ上げ台の脚に滑り止めや床を傷つけにくい素材が使われているものを選ぶと、安心して使える。
少しずらすだけで、直ることもある
前や横に動かして、受光部の前を空ける
道具を買う前に、ただ動かすだけで解決する場合もある。
サウンドバーを少し前に出すと、リモコン受光部の前が空いて、反応が改善することがある。テレビの脚に干渉して奥まで入らないときも、前に出すことで置けるようになる。横に少しずらすのも効く。
ただし、前に出しすぎるとテレビ台の端に近づいて、落下や接触のリスクが上がるので注意したい。音の面でも、サウンドバーは前面から音を出す構造が多いので、前が開けているほうが聞き取りやすい。数センチ単位で動かして、見え方、リモコンの効き、音の聞こえ方を確かめながら、ちょうどいい位置を探す。試行錯誤で最適な場所が見つかることは多い。
リモコンが効かない問題は、500円で解決できる
IRリピーターを貼るだけの裏技
置き場所を工夫しても、どうしてもサウンドバーが受光部をふさいでしまう。そんなときの、とっておきの安上がりな解決策がある。
リモコン中継器、いわゆるIRリピーターという小さな機器だ。中華製のものなら500円から1000円ほどで手に入る。使い方は簡単で、付属の両面テープで貼り付けるだけ。リモコンの赤外線を受ける受光部を、リモコンが届く場所、たとえばテレビの上部やサウンドバーの前面に貼る。信号を送る送信部を、テレビの受光部の近くに貼る。電源は、スマホ付属の余ったUSBアダプタなどから取れる。
こうすると、サウンドバーの前で受けたリモコンの信号が、ふさがれたテレビの受光部まで中継されて届く。高価なサウンドバーには、この機能が最初から内蔵されたリモコンリピーター機能付きのモデルもあるが、その機能のためだけに何倍も高い機種に買い替える必要はない。500円の後付けで、同じことができる。Mさんもこれで、リモコンの問題をあっさり解決した。
テレビのリモコンで音量を操作する設定も
そもそも、サウンドバーのリモコンを使う頻度を減らす方法もある。
テレビとサウンドバーをHDMIケーブルでつなぎ、HDMI CECという連携機能を有効にすると、テレビのリモコンでサウンドバーの音量を操作できるようになることがある。テレビの設定メニューでこの機能をオンにし、音声の出力先を外部スピーカーに変更する。こうすれば、日常の音量調整はテレビのリモコン一つで済み、サウンドバーのリモコンを使う場面自体が減る。設定はテレビの機種によって異なるので、説明書を確認しながら試したい。
それでもだめなら、壁掛けか低背モデル
買い替えるなら、高さと奥行きと端子をセットで確認
工夫を尽くしても解決しないなら、最後の手段として買い替えや壁掛けを考える。
テレビもサウンドバーも壁掛けにすれば、テレビ台の上の置き場所問題そのものがなくなる。買い替えるなら、高さ5から6センチほどの低背タイプを選ぶと、テレビ下の余裕が少なくても収まりやすい。
ここで失敗しがちなのが、高さだけで選ぶことだ。高さで選んだらHDMIのARC端子が使えなかった、逆に端子を重視したらテレビ下に入らなかった、という失敗は避けたい。買うときは、高さ、奥行き、接続端子の3つをセットで確認する。特に奥行きが短いモデルは、テレビ台の上で前後の位置を調整しやすい。
シェアハウスの共用テレビで、置き場所を解決した話
Mさんのサウンドバーは、結局どうなったか。
ホームセンターでテレビのかさ上げ台を買ってきて、テレビの足の下に敷いた。それだけで、画面が隠れる問題と脚の干渉が一気に解消した。さらに、500円のIRリピーターを貼って、リモコンの問題も片付けた。「合わせて2000円もかからずに、全部直ったんですよ。買い替えなくてよかったって、心底思いました」。
共用リビングのテレビだったので、Mさんはこの解決策をメンバーにも共有した。「みんなで使うテレビだから、リモコンが効かないのは全員のストレスだったんです。それが直って、映画の日もみんなでいい音を楽しめるようになって。買う前に高さと受光部の位置を測っておけば、そもそも悩まなかったんですけどね(笑)」。次に共用の家電を買うときは、事前にサイズを測る係を決めることにしたという。
見えてきたのは、サウンドバーがテレビ台に置けないのは、買い替えではなく工夫で解決できる問題だという事実だった。原因を3つに切り分け、テレビをかさ上げし、ずらして位置を調整し、リモコンはIRリピーターで解決する。この順番を押さえれば、高いサウンドバーに買い替えずに、いい音を手に入れられる。テレビの前でサウンドバーがつっかえて汗をかいたあの日から、Mさんの共用リビングは、迫力ある音と効くリモコンで満たされている。

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