共用のリビングに、みんなで使うiPadを一台置くことにした住人がいた。自分のiPhoneと同じApple IDで、さっとセットアップした。ところが数日後、その共用iPadでうっかり開いた個人的なメモが、自分のiPhoneにも当然のように並んでいて、逆に、iPhoneで撮ったプライベートな写真が、リビングのiPadの写真アプリにずらりと表示されていた。
え、これ共用のiPadに全部出てる?血の気が引いた。誰かがiPadを開けば、自分のiPhoneの中身が、そっくり覗ける状態だったのだ。Safariで開いていたタブまで、両方の端末で同じものが並ぶ。iPhoneとiPadの同期を解除しないと、この二台は、中身がまるごと共有され続ける。仕組みを知らないと、プライベートが、共用の端末から丸見えになってしまう。
共用のiPadに、iPhoneの中身が丸見えだった
きっかけは、その共用iPadだった。自分のiPhoneと同じApple IDで設定したら、二台の中身が、そっくり同じになった。プライベートが、共用の端末から覗ける状態に、ぞっとした。まず、なぜ二台が共有されるのかを、知る必要があった。
写真もメモも、勝手に両方に出てくる
共有されていたのは、写真やメモだった。iPhoneで撮った写真が、共用iPadの写真アプリに、全部出てくる。iPhoneに書いた個人的なメモが、iPadにも並ぶ。逆も同じで、iPadでの操作が、iPhoneに反映される。二台が、まるで同じ中身を映す鏡のように、連動していた。(共用のiPadに、俺の写真が全部あるってこと?)個人のiPhoneの中身が、みんなが使うiPadから、丸見えになっていた。プライベートな写真も、人に見られたくないメモも、すべて共有されている。二台を別々に使いたいのに、中身がそっくり同じでは、共用にできない。この、勝手に共有される状態が、いちばんの問題だった。
Safariのタブまで、同じものが並ぶ
共有されるのは、写真やメモだけではなかった。Safariで開いていたタブまで、両方の端末で同じものが並ぶ。iPhoneで見ていたサイトのタブが、iPadのSafariにも表示される。何を見ていたかが、そのまま相手の端末に伝わる。(見てたページまで筒抜けか)これには、さらにぎょっとした。閲覧していたものが、共用のiPadから覗ける状態だったのだ。写真、メモ、そしてSafariのタブ。日々使うものが、ことごとく二台で共有されていた。同じApple IDでつなぐと、ここまで何もかもが、そっくり同じになる。この共有の広さを、知らずにいた。プライベートな閲覧まで、共有の対象になっていた。
同じApple IDだと、何もかも共有される
なぜiPhoneとiPadの中身が、そっくり同じになるのか。それは、二台を、同じApple IDでつないでいるからだ。ここは言い切る。同じIDでつなぐ限り、二台は何もかも共有し続ける。
iCloudが、二台のデータをそろえる
同じApple IDでサインインした端末は、iCloudを通じて、データがそろえられる。写真、メモ、連絡先、カレンダー、Safariのタブ。これらがiCloud上でまとめられ、同じIDの全端末に配られる。だから、iPhoneで撮った写真が、iCloudに上がり、そこからiPadに降りてくる。iPadでの操作も、iCloudを通じて、iPhoneに反映される。この仕組みが、二台の中身を、そっくり同じにしていた。iCloudは、一人が複数の端末を、同じデータで使えるように、データをそろえる。iPhoneとiPadを、同じ人が同じIDで使うなら、この共有は便利だ。でも、iPadを共用にしたいなら、この共有が、丸見えという問題を生む。データが、端末をまたいで一つにされているのだ。
便利な共有が、共用にすると困る
このデータの共有は、もともと便利のために作られた仕組みだ。iPhoneで撮った写真を、大きなiPadの画面で見る。iPhoneで書きかけたメモを、iPadで続ける。同じ人が、二台を使い分けるなら、この共有は、とても便利だ。ところが、iPadを、自分以外の人と共用したい場合、この便利さが、裏目に出る。同じIDでつなぐと、個人のiPhoneの中身が、共用のiPadから丸見えになる。プライベートが、守れない。同じ人が使うなら便利な共有が、共用にすると、困る問題に変わる。この共有を、こちらから意図的に切らないと、iPadを安心して共用にできない。便利な機能を、状況によっては、断つ必要があるのだ。
解除するなら、iCloudの項目を切って止める
iPhoneとiPadの共有を止めるには、iCloudで同期する項目を、切っていくことだ。全部を一気に切るのではなく、共有したくないものを、一つずつ止めていく。
写真やメモを、端末ごとにオフにする
同じApple IDのままでも、iCloudで同期する項目は、種類ごとにオンオフを切り替えられる。iPad側の設定を開いて、写真の同期をオフにすれば、iPhoneの写真がiPadに流れ込まなくなる。メモやSafari、連絡先も、共有したくないものを、一つずつオフにする。この作業をiPadで丁寧に進めると、同じIDのまま、二台の中身を分けられる。共有したいものは残し、分けたいものだけ切る、という調整ができるのが、この方法のいいところだ。ただし、切り忘れた項目が一つでもあると、そこから共有される。オフにする対象を、もれなく見直したい。写真、メモ、Safari。丸見えにしたくないものを、確実に切る。
消した操作が両方に飛ぶ前に、切る
気をつけたいのが、切る前にすでに共有されているデータの扱いだ。同期がつながっている間は、片方での削除が、もう片方の削除になる。共用iPadに表示された写真を消そうとして、それがiPhoneの大事な写真だったら、両方から消える。整理のつもりの操作が、データの全消失につながりかねない。だから、まず同期を切ってから、それぞれの端末で独立して整理する。同期を断つのが先、片付けはその後だ。この順番を逆にすると、片方をきれいにしたつもりで、大切なデータをまとめて失う。特に、写真は、消えると戻らないものも多いから、慎重にしたい。切る作業に入る前に、この落とし穴を頭に入れておきたい。
もっと確実に分けるなら、Apple IDを別にする
項目を一つずつ切る方法でも分けられるが、共用の端末なら、もっと根本から分けたい場合もある。その時は、iPadに、iPhoneとは別のApple IDを使う手がある。
iPadに、別のIDを使えば根から分かれる
共有の根っこは、二台が同じApple IDでつながっていることにある。だから、IDそのものを分ければ、写真もメモもSafariのタブも、根元から一度に分けられる。共用のiPadに、個人のiPhoneとは別のApple IDでサインインする。すると、iPadは、iPhoneとは別の端末として扱われ、中身が共有されなくなる。個人のiPhoneの写真やメモが、共用iPadに出てくることは、一切なくなる。一つずつ設定を切る手間も、切り忘れの不安も、まとめて消える。共用の端末を、個人の端末から完全に分けたいなら、これがいちばん確実だ。共用iPad専用のIDを作れば、プライベートが混ざる余地そのものが、なくなる。共用にするなら、IDを分けるのが、すっきりしている。
アプリや購入は分かれる点に、注意する
ただし、Apple IDを分けると、アプリや購入したものが、IDごとに分かれる。iPhoneのIDで買ったアプリや、加入しているサービスを、別IDのiPadでそのまま使えないことがある。共用iPadで、個人のIDで買ったアプリを使いたいなら、この点が不便になる。だから、アプリやサービスは共有したいけれど、写真やメモは分けたい、という場合は、項目を一つずつ切る方法のほうが向く。IDを分けるか、項目で切るか。どちらが合うかは、何を共有して、何を分けたいかで決まる。共用の端末として、中身を完全に分けたいならID分割、アプリは共有したいなら項目で切る、と使い分けたい。目的に応じて、方法を選ぶ。
iPadならではの、共有機能も見直す
iPhoneとiPadの間には、iCloudのデータ共有のほかにも、二台をまたいで働く機能がある。共用にするなら、これらも見直しておきたい。
手渡しで作業が続く機能を、切る
iPhoneとiPadには、片方で始めた作業を、もう片方で引き継げる機能がある。iPhoneで見ていたサイトを、iPadで続きから開く、といった具合だ。同じ人が二台を使うなら便利だが、iPadを共用にするなら、個人のiPhoneでの作業が、共用iPadに引き継がれるのは、都合が悪い。この、作業を手渡しする機能を、オフにしておきたい。設定から、この連携機能を切れば、iPhoneでの作業が、共用iPadに現れなくなる。iCloudのデータ共有を切っても、こうした連携機能が残っていると、そこから作業が伝わる。データの共有だけでなく、作業を引き継ぐ機能も、あわせて見直す。二台をまたぐ連携を、断ちたい。
通話やメッセージの共有も、確かめる
iPadでは、iPhoneにかかってきた電話を受けたり、iPhoneのメッセージを見たりできる設定もある。同じ人が使うなら便利だが、iPadを共用にするなら、個人のiPhoneの電話やメッセージが、共用iPadに表示されるのは、避けたい。共用iPadで、この通話やメッセージの共有をオフにすれば、個人の連絡が、共用の端末に現れなくなる。プライベートな電話やメッセージが、みんなの使うiPadから見える状態は、防ぎたい。データや作業の共有に加えて、この通話やメッセージの共有も、確かめておく。iPadを共用にするなら、iPhoneとつながるあらゆる機能を、一つずつ見直したい。連絡まわりの共有も、忘れずに切る。
結局、共有される中身を知れば分けられる
iPhoneとiPadの同期を解除する方法。突き詰めて分かったのは、同じApple IDでつなぐ限り、写真もメモもSafariのタブも、何もかも共有される、ということだった。二台を分けるには、iCloudの項目を、共有したくないものだけ一つずつ切る。もっと確実に分けたいなら、iPadに別のApple IDを使う。ただし、IDを分けるとアプリや購入が分かれる点に注意がいる。さらに、作業を手渡しする機能や、通話やメッセージの共有も、あわせて見直す。同じIDで何が共有されるかを知れば、どこを切ればいいかが見えてくる。共有される中身を把握すれば、二台は分けられる。
項目を切るか、IDを分ければ、二台は別々になる
あの日、共用iPadに個人の中身が丸見えで、ぞっとした住人は、対処に踏み切った。共用のiPadには、個人のiPhoneとは別のApple IDでサインインし直したのだ。すると、iPhoneの写真も、メモも、Safariのタブも、共用iPadに出てくることが、一切なくなった。作業を手渡しする機能も、通話やメッセージの共有も、オフにした。個人のプライベートが、共用の端末から覗ける状態は、きれいに解消された。同じIDでつないだせいで、何もかも共有されていた、あのぞっとする状態は、IDを分けることで、根本から断てた。iPhoneとiPadの中身が、勝手にそっくり同じになるのには、同じApple IDでつながっているという理由があった。何が共有されるかを知って、項目を切るか、IDを分ける。それだけで、二台は、別々の中身を保てる。共用にするなら、まず、つながっている中身を把握すること。そこから、分ける道筋が見えてくる。プライベートを守る鍵は、共有の仕組みを知ることにあった。

コメント