レジ袋の代わりに買った麻の袋が、一年で家の中心になった
シェアハウスの買い出しは、月に一度の大型店まとめ買いです。住人が交代で車を出し、共用の食材を積んで帰る。
その日、レジ横で目に入ったのが麻の風合いをしたクーラーバッグでした。内側が銀色で、外は生成りの粗い織り。
保冷バッグって、もっとペラペラなやつじゃないの?
半信半疑でカートに入れて、一年。いまこの袋はキッチンの隅に定位置を持っています。買い出し用として使われ、使わない日は玄関に立てかけられ、なぜか毛布の収納にもなっているし、車で大量に買う人には強く勧めます。徒歩や自転車が中心の人には、重さの点で向きません。
まず容量、何がどれだけ入るか
大型の冷凍食品が、寝かせて三つ
うちで実際に詰めた記録です。大袋の冷凍鶏肉、冷凍のパン生地、アイスの箱。この三点を平積みして、まだ上に余裕がありました。
二リットルのペットボトルなら立てて六本。牛乳パックは横に並べて八本前後。
一般的な保冷バッグの二倍近い体積です。買い物かご一つぶんが丸ごと入る感覚。
マチが広いので、箱物が収まる
これが効きます。底面が四角く、しっかり自立する。細長い保冷バッグだと斜めに入れるしかない箱型の商品が、そのまま平らに置ける。
住人が卵の大パックを入れたとき、傾かずに底に収まりました。前の袋では毎回、上に何も乗せられなかった。
詰めすぎると、持ち手が肩に食い込む
容量があるぶん、満載にすると十五キロを超えます。持ち手は太めの布ですが、それでも肩が痛い。
うちの住人が満載で駐車場から玄関まで運んだとき、途中で二回止まりました。到着してTシャツをめくったら、肩に赤い線が入っていた。
保冷力は、条件付きで合格
八月の車内で、三時間持った
実測に近い話をします。真夏、買い物から帰宅まで一時間、その後家の中で二時間放置。
アイスクリームは形を保っていました。表面が少し柔らかくなっていた程度。冷凍餃子は完全に凍ったまま。
内側のアルミ層と、生地の厚みが効いています。ペラペラの保冷袋とは別物でした。
保冷剤か氷を、必ず入れる
袋だけでは冷やせません。当たり前ですが、忘れる人が多い。
うちは店の製氷機の氷を袋に詰めて、冷凍品の上に乗せています。保冷剤より隙間に入り込むので、接触面積が広い。
冷凍品同士をくっつけて配置し、その塊を氷で包む。この順番で詰めると持ちが変わります。
ファスナーがない構造は、冷気が逃げる
上部の閉じ方が製品によって違います。うちのものは折り返して面ファスナーで留める形式。
密閉性はファスナー式に劣ります。長時間の移動では、上から保冷シートを一枚かぶせると差が出ました。
ジュートという素材の、弱点
ここが購入前に知っておきたい部分です。
濡れると乾きにくく、匂いが出る
麻の外装は水を吸います。雨の日に持ち歩いた後、乾かさずに玄関へ置いておいたら、二日後に湿った匂いが立ち上がっていました。
内側の防水層は問題ありません。外側だけが吸うので、濡れたら陰干しする。日光に長く当てると生地が硬くなるので、風通しのいい場所で。
汚れは落ちにくい、洗濯機は使えない
液体をこぼすと、繊維に染み込みます。うちは醤油の瓶が倒れて、外側に茶色い染みが残りました。中性洗剤を含ませた布で叩いても、うっすら消えない。
丸洗いすると内側のアルミ層が剥離するので、部分的な拭き取りが基本です。
毛羽立ちは、一年で出る
粗い織りなので、擦れる部分から繊維がほつれます。うちのは底の角と、持ち手の付け根に毛羽が出てきました。
使用に支障はないけど、新品の見た目を保ちたい人には気になるかもしれません。
車と徒歩で、評価が真逆になる
車なら、これ一つで買い物が完結する
トランクに積んで、そのまま運ぶ。自立するので車内で倒れません。買ったものを移し替える手間がない。
うちの買い出しは、この袋を二つ持っていって全部詰める形に固まりました。カートから直接放り込めるので、レジ後の袋詰めが早い。
徒歩なら、空の状態でも重い
本体だけで一キロ近くあります。ジュートは丈夫なぶん重い素材。
畳んでも、薄い保冷バッグのようにカバンへ入りません。厚みが残って、バッグの中でかさばる。
住人の一人が徒歩の買い物に持ち出して、往路の時点で「これ持って歩くのしんどい」とこぼしていました。以来、車専用になっています。
自転車のカゴには、入るが不安定
底面が広いので、標準的なカゴには収まります。ただし満載だと重心が上がって、ハンドルを取られる。
買い物以外での使い道が、意外と多い
収納袋として、そのまま部屋に置ける
これが想定外の利点でした。見た目が生活雑貨として成立しているので、出しっぱなしでも部屋に馴染む。
うちでは冬の毛布を入れて、押し入れの手前に置いています。防水層があるので、湿気からある程度守ってくれる。
飲み物を冷やしたまま運ぶ、屋外での用途
花見や河原でのバーベキューに持ち出しました。缶を氷ごと入れて、そのままクーラーボックス代わりに使う。
硬いボックスより軽く、帰りは畳める。地面に直接置いても、底が汚れを気にしない素材。
洗濯物を運ぶカゴにもなる
共用の洗濯機まで往復する住人が、これを使い始めました。自立するので、洗濯物を放り込みやすい。
用途を限定しない形状が、結果的に稼働率を上げています。
買う前に確認したいこと
置き場所を先に決める
畳んでも厚みが残るので、収納場所が必要です。うちは玄関の靴箱の横に立てかけるスペースを空けました。
たたんで引き出しにしまう運用は難しい。立てかけるか、吊るすか、中に何か入れて置いておくか。
売り場に並ぶ時期が限られる
季節商品として扱われることが多く、通年で置いてあるとは限りません。見かけたときに買っておかないと、次に行ったときには消えている。
うちの住人が二つ目を買おうとしたときは、すでに棚から下がっていました。あの悔しさ…
持ち手の長さを、肩にかけて確認する
店内で実際にかけてみる。上着を着る季節に肩にかかるかどうかで、使い勝手が変わります。
向いていない人
少量の買い物が中心なら、この容量は持て余します。空のまま持ち歩く重さが負担になるだけ。
車を使わず、駅から徒歩の生活をしている人も同じ。軽量の折りたたみ保冷バッグのほうが理にかなっています。
見た目より機能を優先する人には、ファスナー付きで完全に密閉できる保冷バッグのほうが保冷力で勝ります。麻の風合いに価値を感じない場合、選ぶ理由が薄い。
一年経って、まだ現役でいる理由
うちのキッチンの隅に、その袋は今も立っています。底の角は毛羽立って、醤油の染みも残ったまま。
それでも月に一度の買い出しでは、必ずこれが車に積まれる。カートから食材を放り込むときの、ザッという粗い布の音がして、その日の献立の話が始まる。
道具として長く使えるかどうかは、汚れてからの付き合い方で決まるのかもしれません。

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