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引っ越しの時期おすすめは11月|3回動いて分かった費用と物件の差

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三月に動いて、見積もりが十八万円だった

電話の向こうで、業者の担当者が淡々と数字を読み上げた。
単身パック、荷物は段ボール十五箱と洗濯機と冷蔵庫。距離は同じ区内。
十八万三千円。
受話器を持ったまま、しばらく声が出なかった。同じ区内で、十八万?
他社にも三件かけた。安いところで十五万。日程を四月十日にずらせるかと聞かれて、無理だと答えた。学校の都合で三月中に出る必要があったから。
結局、そのまま押し切られる形で契約した。あの月の口座残高、見たくもなかった。

その二年後、同じ荷物量で十一月に動いた。四万二千円。
差額、十四万円。荷物も距離も、ほとんど変わっていない。

時期を選べるなら、十一月

言い切る。動く月を自分で決められる立場なら、十一月がいちばん得をする。
費用が落ちて、物件の選択肢もそこそこ残っていて、業者の作業も丁寧になる。
この三つが同時に成立する月が、一年のうちで限られている。

安さと物件数は、逆を向く

ここを理解していないと、判断を間違える。
物件がいちばん出るのは一月から三月。同時に、費用がいちばん高い。
費用がいちばん安いのは五月から六月。同時に、物件が枯れている。
どちらかを取ればどちらかを失う。この綱引きの中で、両方をそこそこ拾える月を探す話になる。

三月と四月上旬が高い理由

 

トラックと人が、足りていない

引っ越し料金は、需要と供給でそのまま動く。
三月下旬から四月上旬にかけて、進学と転勤と就職が一斉に重なる。トラックの台数と作業員の数は変わらない。
そこに希望日が集中すれば、価格は上がる。通常期の三倍近くまで跳ねる日がある。
うちのシェアハウスでも、三月に出ていく住人と入ってくる住人が毎年重なって、玄関前でトラックが二台待機している光景が恒例になっている。

値切り交渉が、成立しない

繁忙期は、業者が断れる立場にいる。
安くしてほしいと言えば、では他をお探しください、で終わる。実際にそう言われた。
通常期なら、他社の見積もりを見せると下がることがある。三月にそれをやっても、鼻で笑われるだけ。
交渉というのは、相手に空きがあるときだけ成り立つ話なんだよね。

作業が、雑になる

これは費用以上に痛かった部分。
繁忙期の作業員は、一日に何件も回る。次の現場の時間が決まっている。
うちに来たチームは、玄関で靴を脱ぐ間も惜しそうにしていた。段ボールの積み方が荒く、食器が二枚欠けた。
十一月に頼んだときは、同じ会社なのにまるで違った。冷蔵庫を運ぶ前に床に養生を敷いて、壁の角に緩衝材を巻いて、最後に忘れ物がないか一緒に部屋を確認してくれた。
時間に余裕があるかどうかで、人の動き方は変わる。

月ごとの中身

 

一月と二月は、物件を探す月

三月に出ていく人が、この時期に解約を申し出る。退去の通知は一か月前か二か月前が多いので、その情報が不動産会社に流れてくる。
新築の完成もこの時期に集中する。
物件の量では、一年で最も充実している。ただし、契約する人も多い。いい部屋は数日で消える。
引っ越し費用はまだ上がりきっていない。二月中旬までなら、通常期に近い金額で動ける日がある。
物件を優先するなら、この二か月は悪くない。

五月と六月は、費用が底

繁忙期が完全に終わって、業者に空きが出る。
うちの住人が五月末に動いたとき、平日の午後という条件で三万八千円だった。三月の見積もりの五分の一。
問題は物件。四月までに動いた人たちが良い部屋を取っていったあとで、残っているものに偏りがある。
それでも、条件をあまり絞らない人なら選べる。家賃を下げる交渉が通りやすいのも、この時期の特徴。空室のまま置いておきたくない事情が、貸す側にあるから。

七月と八月は、体力の問題

安さでは五月に近い。物件も少しずつ動き出す。
ただ、作業がきつい。
八月に住人の荷物運びを手伝ったことがある。階段を三往復した時点で、Tシャツが背中に張り付いて剥がれなくなった。冷蔵庫を持ち上げたとき、視界の端が白く滲んだ。
熱中症のリスクを考えると、日程を朝の早い時間に寄せる必要がある。エアコンの設置が間に合わないと、初日の夜が地獄になる。
安さと引き換えに払うものが、金以外にある月。

十一月が、いちばんバランスが取れる

ここが本命。
夏の移動が終わって、年末年始の混雑にはまだ入っていない。業者に空きがある。
物件は、秋の転勤で動いた人の部屋が出てくる。数は多くないが、質は悪くない。
気候がいい。汗をかかず、手がかじかまない。荷物を運ぶのに最も向いた気温。
うちが四万二千円で動けたのは、十一月の第二週の火曜日だった。

同じ月でも、日で三万円変わる

 

月末と月初を、外す

賃貸の契約は、月末締めが多い。だから月末に退去が集中する。
二十五日から月末までと、一日から五日まで。この期間は、通常期でも料金が上がる。
月の中旬、十日から二十日あたりを狙う。同じ月内でも、二万円から三万円下がることがある。
家賃が二重に発生する日数を惜しんで月末にこだわると、引っ越し費用でそれ以上を失う。

平日の午後便が、最安

時間帯で三段階ある。
午前の便は、その日のうちに片付くので人気が高い。値段も高い。
午後の便は、前の現場が終わってから来る。到着時間が読めない。そのぶん安い。
時間を指定しない便が、いちばん安い。当日の朝に連絡が来る形。
うちは午後便を選んで、十四時と言われて実際に着いたのが十六時半だった。荷ほどきが深夜になったが、二万円下がったので納得している。

大安を避けると、下がることがある

六曜を気にする人が一定数いる。大安に希望が寄る。
気にしないなら、仏滅や赤口の日を指定する。同じ週でも数千円変わる業者がある。
うちの住人はこれで八千円下げた。彼は特に何も起きていない。

時期を選べない人が、削れる場所

 

荷物を減らすのが、いちばん効く

三月に動くしかない人へ。値段は交渉では下がらないので、量で戦う。
トラックのサイズが一段階下がると、料金が明確に落ちる。段ボールを三箱減らすより、家具を一つ手放すほうが効く。
うちの住人は、三月の引っ越し前に本棚とテーブルを処分した。買い直しても、差額のほうが大きかったと言っていた。
不用品の回収は、二月中に予約する。三月は回収業者も混む。

大型家電だけ業者、あとは自分で運ぶ

距離が近いなら、この手が使える。
洗濯機と冷蔵庫だけ業者に頼んで、段ボールは自分で車を借りて往復する。
軽トラックのレンタルが数千円。二往復すれば、単身の荷物はだいたい収まる。
うちの住人二人がこれをやって、七万円の見積もりを二万円台に落とした。人手が要るので、共同生活の利点が出た場面でもある。

見積もりは、三社を同じ日に呼ぶ

訪問見積もりを、時間をずらして同じ日に入れる。
一社目の金額を、二社目に伝える。二社目の金額を三社目に。
繁忙期でも、この方法で二万円ほど下がった例がある。相手も他社が来ていることを知っているので、その場で決めてもらうために踏み込んでくる。
一社だけで決めるのは、いちばん高い買い方。

物件側の事情も、時期で変わる

 

家賃交渉が通るのは、閑散期

五月から八月、そして十一月から十二月。
この時期の空室は、貸す側にとって痛い。次の繁忙期まで埋まらない可能性があるから。
家賃を千円下げてもらう、フリーレントを一か月つけてもらう、といった交渉が通りやすい。
うちの住人が十二月に交渉して、初月の家賃が無料になった。年間で見れば、繁忙期に人気物件を取るより得をしている。

三月に決めると、判断が雑になる

これは費用の話ではなく、選び方の話。
繁忙期は、内見の予約が取りにくい。一件見て、その場で決めるかどうか迫られる。
迷っているうちに他の人に取られた経験が、判断を焦らせる。
うちの住人が三月に決めた部屋は、日当たりを確認せずに契約した物件だった。入居してから、昼でも電気が要ることに気づいた。
時間をかけて選べる時期に動くというのは、金額に表れない部分で効いてくる。

内見で見落とす季節がある

夏に見た部屋は、冬の冷えが分からない。冬に見た部屋は、夏の西日が分からない。
十一月に内見すると、両方の中間の状態で判断することになる。これは弱点でもあるが、極端な印象に引きずられない利点でもある。
窓の向きと、隣の建物との距離を測っておけば、季節の差はある程度推測できる。

先週、住人のミオが不動産会社から帰ってきて、テーブルに紙を広げた。
十一月十二日、火曜日、午後便。見積もり四万八千円。
「三月に出ようとしてたんだけど、待つことにした」
半年後の日付を指でなぞりながら、彼女は少し笑った。
その紙の横に、去年の三月に自分が払った十八万円の領収書の記憶が、まだ焼き付いている。

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この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
節約、家事、収納、コミュニティづくりまで、みんなで暮らすからこそ生まれる知恵を発信してます。

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