MENU

一人暮らしの大学生にアイロンは必要か|買って後悔しない基準

目次

面接前夜、シャツの襟が波打っていた

就活が始まった年の十月。
リョウが洗面所の前で、白いシャツを両手で持って固まっていた。
洗って干したはずのシャツ。襟の内側が、細かく波打っている。前身頃には、干したときのハンガーの跡がくっきり。
「これ、明日着るんですけど」
時計は二十三時。うちにアイロンはあった。ただ、彼はその存在を知らなかった。
(というか、使い方も知らないんじゃないか)
洗面所の床に座って、二人で三十分格闘した。翌朝、彼のシャツはそれなりに平らになっていた。

シェアハウスに住む大学生を三年見てきて、アイロンを買った人と買わなかった人の両方がいる。
どちらが正解かは、その人の生活で決まる。判断の材料を書く。

必要になる場面は、限られている

大学生活で、アイロンが要る場面は多くない。
就職活動、インターン、成人式、アルバイトの制服、実習や研究発表。このあたり。
普段の講義に、皺のないシャツで行く必要はない。
年に数回しか使わないものに、収納場所と金を割くかどうか。ここが判断の分かれ目になる。

買わないという選択も、成立する

うちの住人で、四年間アイロンを持たずに過ごした人がいる。
形状記憶のシャツを三枚買って、干し方を工夫していた。それで足りていた。
就活の時期だけ、クリーニングに出していた。年間の費用は、アイロン本体より安かった。

買わずに済ませる方法

形状記憶のシャツを選ぶ

これが最も現実的な回避策。
洗って干すだけで、皺がほとんど出ない加工がされている。
価格は三千円台から。普通のシャツと大きく変わらない。
うちの住人は、就活用に三枚買った。四年間、一度もアイロンを使わなかった。
完全に無皺になるわけではない。ただ、面接で気になる程度の皺は出ない。

干し方で、皺は減る

脱水を短くする。長く回すほど、皺が深く入る。
うちは脱水一分で止めている。水が滴るが、そのぶん重みで皺が伸びる。
干す前に、両手で生地を挟んでぱんと叩く。それから、襟と袖口を手で引っ張って形を整える。
厚みのあるハンガーを使う。細い針金だと、肩に跡がつく。
この三つで、アイロンが必要な場面が半分以下に減った。

浴室の湿気を使う

入浴後、湿気の残った浴室にシャツを吊るす。
繊維が水分を含んで、皺が自然に伸びる。
うちの住人が、前夜にこれをやって、翌朝そのまま着ていった。近くで見ると多少の皺は残るが、遠目には分からない。
急ぎのときの応急処置として使える。

買うなら、何を選ぶか

スチーム機能は、あったほうがいい

水蒸気を出しながらかけると、皺の伸び方が違う。
乾いた状態でかけると、力で押さえつける形になって、なかなか伸びない。
うちのアイロンはスチーム付き。水を入れるだけで、作業時間が半分になった。
水を入れる手間はある。使わないときは抜いておかないと、内部に水垢が溜まる。

コードレスか、コードありか

コードレスは、台に戻して熱を蓄えて、外して使う。
取り回しは楽。ただ、使っているうちに温度が下がる。数分ごとに台へ戻す必要がある。
コードありは、常に一定の温度が出る。作業が途切れない。
うちはコードありを使っている。狭い部屋で使うなら、コードが邪魔になる場面は少なかった。

重さは、あったほうが楽

軽いアイロンは、力を入れて押さえる必要がある。
重いものは、自重で生地を押さえてくれる。
うちの住人が軽量のものを買って、腕が疲れると言っていた。
一キロ前後が扱いやすい。それ以上だと、持ち上げるのがきつくなる。

アイロン台をどうするか

本体より、置き場所に困る

アイロンは小さい。困るのは台のほう。
一般的なアイロン台は、幅八十センチほど。一人暮らしの部屋では、立てかける場所を探すことになる。
うちの住人は、買った台を三か月でベッドの下に押し込んだ。取り出さなくなった。

床に敷くタイプで足りる

折りたたんで、厚手の布のようになるもの。
床やテーブルの上に広げて使う。使わないときは、畳んで引き出しに入る。
うちの共用のものがこれ。厚みが二センチほどで、収納に困らない。
価格も二千円前後。脚付きの台より安い。

バスタオルで代用できるか

できる。ただし条件がある。
床が熱に耐える素材であること。フローリングに直接だと、熱で変色する危険がある。
うちは、バスタオルを三枚重ねて、その上でかけたことがある。問題なく使えた。
テーブルの上でやるなら、天板が熱で傷む。板を一枚挟むか、専用のマットを使う。

実際にかけるとき

温度を、素材で変える

綿は高温、化学繊維は低温。
これを間違えると、生地が溶ける。
うちの住人が、就活用のシャツを高温でかけて、胸のあたりが茶色く光った。あれは戻らなかった。
洗濯表示のタグに、アイロンの温度が書かれている。点の数で示されていることが多い。
迷ったら低温から始める。伸びなければ、少しずつ上げる。

順番がある

襟、肩、袖、身頃。この順でかける。
先に大きい面をかけると、あとから細かい部分をかけるときに、済んだ場所に新しい皺ができる。
うちはこの順番を紙に書いて、洗面所の壁に貼った。初めての人でも迷わない。
襟は裏から。表からかけると、縫い目のあたりが妙に光る。

当て布を、使う場面

黒や濃い色の生地は、直接かけると表面が光る。
薄い布を一枚挟んでかける。手ぬぐいやハンカチで足りる。
うちの住人が、黒いスラックスに直接かけて、膝のあたりがてかった。面接当日の朝だった。
濃い色の衣類は、当て布を前提にする。

置き場所と、安全

耐熱マットを、一緒に買う

使い終わったアイロンを、どこに置くか。
プレートは、電源を切ってからもしばらく高温が残る。
うちは、シリコンの耐熱マットを千円ほどで買った。使うときは必ずその上に置く。
床に直接置くと、フローリングに跡が残る。うちで一度、丸い焦げ跡ができた。

コンセントを、抜くところまで

電源ボタンを押しただけでは、切ったかどうかの記憶が曖昧になる。
プラグを抜く。この動作は手に感触が残る。
うちは、抜いたコードを丸めて目に見える場所に置く決まりにした。切れていることが、見て分かる。
自動で電源が切れる機能が付いた機種を選ぶと、なお安心。

収納するのは、完全に冷めてから

熱いまま袋に入れると、袋が溶ける。
うちの住人が、急いで鞄に入れて、内側が溶けて張り付いた。
最低でも三十分は放置する。触って冷たくなったのを確認してから片付ける。

買うかどうかの、最終判断

年に十回以上使うなら、買う

アルバイトで制服を着る、就活が本格化する、実習で白衣を使う。
こうした事情があるなら、持っていたほうが安い。
クリーニングは一枚数百円。十回で数千円になる。アイロン本体が三千円台から買えることを考えると、すぐ逆転する。

年に数回なら、借りるか出す

実家が近いなら、帰省したときに使わせてもらう。
友人と共同で一台持つ方法もある。うちのシェアハウスは、共用で一台置いている。六人で使って、月に数回動く程度。
クリーニングに出す選択も、費用で見れば合理的。

収納場所があるかで、決まる

結局、これが最後の判断材料になる。
本体と台を、取り出しやすい場所に置けるか。
押し入れの奥にしまうと、使わなくなる。使わないものは、ただの荷物になる。
うちの住人で、買ったのに使っていない人が二人いる。どちらも収納の奥に眠っていた。

先週、リョウが洗面所でシャツを広げていた。
床に折りたたみの台を敷いて、襟の裏から順にかけていく。壁に貼った紙を、一度だけ見た。
終わったあと、コードを抜いて丸めて、マットの上に置いた。
「これ、慣れると五分ですね」
ハンガーにかけたシャツが、洗面所の照明の下で真っ直ぐに伸びていた。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
節約、家事、収納、コミュニティづくりまで、みんなで暮らすからこそ生まれる知恵を発信してます。

コメント

コメントする

目次