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10度以下で保存とは何度?冷蔵室の実測でわかった置き場所

目次

共用冷蔵庫の奥で、豆腐が凍っていた

夜。パックを開けたら、中身がしゃりっと音を立てた。
表面に細かい氷の粒。箸を入れると、すかすかの穴だらけになっている。
(冷蔵室だぞ、ここ)
温度計を突っ込んで三十分待ったら、奥の壁際は一度を切っていた。同じ棚の手前は六度。
一台の冷蔵庫の中で、五度以上の差がある。
シェアハウスで六人が同じ冷蔵庫を使っていると、この手の事故が定期的に起きる。三年で、凍った豆腐と傷んだ豆乳と、膨らんだヨーグルトを見てきた。

10度以下という表示の正体

食品のパッケージに書かれている保存温度。よく見かけるのが十度以下という表記。
これは冷蔵で保存してください、という意味だと理解している人が多い。だいたい合っている。
ただ、数字の意味は少し違う。菌が増えるのを遅らせられる上限が、この温度。
十度を超えると、食中毒を起こす菌の多くが活発に増えはじめる。だから上限として設定されている。

冷蔵室は、均一ではない

ここが一番言いたいこと。
冷蔵室の設定を五度にしても、庫内のすべての場所が五度になるわけじゃない。
冷気の吹き出し口の近くは低く、扉に近い場所は高い。うちの実測で、同じ庫内に一度から九度までの幅があった。
十度以下という指示を守るには、庫内のどこに置くかまで考える必要がある。

実際に測ってみた、庫内の温度差

奥の壁際は、冷えすぎる

冷気が出てくる場所。だいたい奥の上部か、背面の中央にある。
ここに近いほど温度が低い。うちの冷蔵庫は、最上段の奥で零度から一度だった。
豆腐が凍ったのは、この位置に置かれていたから。
葉物野菜も、この場所に置くと霜が付いて、解けたあとぐしゃっと崩れる。
凍らせたくないものを、奥に押し込まない。共同生活だと、後から入れた人が前のものを奥に押しやるので、これが起きやすい。

扉の内側は、十度を超える

一番危ないのがここ。
うちの扉のポケットは、実測で八度から九度。扉を開閉すると、その瞬間に外気が入る。
一日に何十回も開くシェアハウスの冷蔵庫では、扉側の温度が十度を超えている時間が確実にある。
牛乳や卵を扉に入れる設計になっている冷蔵庫が多いけれど、この場所は温度が安定しない。
うちは牛乳を庫内の棚に移した。開封後の持ちが、明らかに変わった。

中段の中央が、いちばん安定する

測った中で、変動が小さかったのが中段の真ん中あたり。四度から五度。
冷気が回りこむ位置で、扉からも離れている。
温度に敏感なものは、ここに置く。うちは開封した乳製品と、練り物と、作り置きのおかずをこの位置に集めている。
場所を決めておくと、住人全員が同じ運用をする。誰かが適当に突っ込むことがなくなった。

詰め込みすぎると、全部が緩む

冷気の通り道が塞がる

冷蔵室は、冷たい空気が循環することで庫内全体を冷やしている。
隙間なく詰めると、その流れが止まる。奥だけが冷えて、手前が冷えない状態になる。
うちの冷蔵庫は、六人ぶんの食材で常に満杯だった。ある日、住人の一人が中身を三割減らしたら、庫内の温度差が二度ほど縮まった。
七割ほどの充填が目安。うちはそれを守れていないので、代わりに置き場所で調整している。

大きな容器が、壁を作る

背の高いボトルや、大きな鍋。
これが庫内の中央に立つと、後ろ側への冷気が遮られる。その裏に置かれたものが、冷えなくなる。
うちは二リットルのペットボトルを、必ず一番下の段に横倒しで置く決まりにした。立てると冷気を遮る。
鍋ごと入れるのも避けたい。うちは容器に移し替えてから入れるようにしている。

扉を開けている時間

何を取るか決めずに扉を開けて、庫内を眺める。この時間が積み重なる。
共同生活だと、六人がそれぞれこれをやる。うちは一日の合計で、扉が開いている時間がかなりの長さになっていた。
中身の配置を決めて、何がどこにあるか全員が把握していれば、開けている時間が短くなる。
棚に名前のシールを貼った。効果は、想像以上だった。

十度以下を守れているか、確かめる

温度計を、庫内に置く

千円もしない道具で、判断が全部変わる。
冷蔵庫の表示している温度と、実際の庫内の温度は一致しない。表示は、センサーがある一点の値でしかない。
うちは扉のポケットと、中段の棚に、二つ置いている。数字を見れば、どこに何を置くべきかが自動的に決まる。

ぬるいと感じたら、その感覚は正しい

牛乳のパックを持ったとき、思ったより冷たくない。
この体感は、かなりあてになる。冷たいものは、手のひらから熱を奪う。奪われる速度が遅ければ、温度が上がっている。
うちの住人が、飲む前に手で確認する癖をつけた。おかしいと感じたら飲まない。それで一度、傷んだ牛乳を回避している。

設定温度を下げる前に、詰まりを疑う

冷えが悪いとき、設定を強にする人が多い。
その前に、冷気の吹き出し口が塞がれていないか見る。うちは、タッパーが吹き出し口を完全に覆っていたことがあった。
どかしたら、翌日には庫内が均一に冷えた。設定は元のまま。
電気代を無駄にする前に、中を見る。

買い物から帰るまでの、危険な時間

夏の帰り道が、いちばん温度が上がる

十度以下で保存と書かれたものは、店の冷蔵ケースで守られている。
そこから出た瞬間、時間との勝負が始まる。
夏の外気は三十度を超える。買い物袋の中は、それ以上になることがある。
うちから最寄りのスーパーまで徒歩十分。夏場、帰宅して袋から出した豆腐のパックが、ほんのり温かかったことがある。あの感触は、正直まずいと思った。

保冷剤を、常備しておく

冷凍庫に、保冷剤を三つほど入れておく。
買い物に行くとき、エコバッグに一つ放り込む。それだけで、帰り道の温度上昇がかなり抑えられる。
うちは玄関に保冷バッグを吊るしてある。誰でも持っていける。
夏場だけでいい。冬は外気が低いので、あまり気にしなくていい。

寄り道をしない

身も蓋もないが、これが効く。
買ってから冷蔵庫に入れるまでの時間を、できるだけ短くする。
温度に敏感なものは、買い物の最後にカゴへ入れる。店内を回っているあいだも、時間は進んでいる。

表示の見方を、少し変える

十度以下と、要冷蔵は同じではない

細かい話だけれど。
十度以下と書かれているものと、四度以下と書かれているものがある。
数字が小さいほど、菌が増えやすい食品ということ。生食用の魚介や、生クリームを使った菓子など。
うちの住人が、四度以下と書かれたケーキを扉のポケットに入れていた。翌日、表面のクリームが緩んで、味が変わっていた。
数字を見る癖をつけると、置き場所が変わる。

開封後は、表示より短く見積もる

未開封で守られる期限と、開けたあとの持ちは別の話。
空気に触れた時点で、菌が入る経路ができる。
うちは開封日をマスキングテープに書いて、容器に貼っている。共同生活だと、誰がいつ開けたか分からなくなるので、この習慣が効いた。
書いてあると、迷わない。捨てるか使うかの判断が一秒で済む。

停電のときは、開けない

これは覚えておいて損がない。
扉を閉めたままなら、冷蔵室の温度は数時間、十度以下を保てる。
開けるたびに、その持ち時間が削られる。
うちは一度、二時間の停電があった。全員に、冷蔵庫を開けないよう連絡した。復旧後に測ったら、庫内は七度だった。何も傷んでいなかった。

先週、共用の冷蔵庫を開けたら、中段の中央にヨーグルトが並んでいた。
その横の棚板に、小さな温度計。針が四度を指している。
奥の壁際には、飲み物のボトルだけが横倒しで並んでいた。
「豆腐、もう凍らせないんで」
背後を通りかかった住人がそう言って、扉を閉めた。かすかな吸い付く音がして、冷気が閉じ込められた。

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この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
節約、家事、収納、コミュニティづくりまで、みんなで暮らすからこそ生まれる知恵を発信してます。

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