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アース線をつける場所がない賃貸|洗濯機と電子レンジの現実解

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コンセントの下に、あるはずの蓋がなかった

洗濯機の搬入日。業者がコンセントの前にしゃがみ込んで、少し黙った。
「アース、ここ、ないですね」
壁の差し込み口は二つ。その下にあるはずの、小さな蓋も、ねじも、緑色の端子も、何もない。ただの平らな樹脂の板。
洗濯機の裏からは、黄緑色の細い線が一本、行き場を失って垂れている。
(これ、繋がないまま使っていいのか?)
業者は接続しないまま設置を終えて、書類にサインをもらって帰っていった。垂れた線は、そのまま洗濯機の裏に押し込まれた。
一週間、気になって仕方がなかった。

シェアハウスに移る前、築三十年台の物件を三か所転々とした。三か所とも、どこかの部屋にアース端子がなかった。
そのたびに管理会社と話して、対応が分かれた。

そもそも、あの線は何をしているか

家電の内部で電気が漏れたとき、その電気を地面に逃がすための通り道。
逃げ道がないと、金属の外装に電気が溜まる。そこに触れた人の体を通って、地面に流れる。これが感電。
水を扱う家電で特に重要になるのは、水が電気を通すから。濡れた手、濡れた床が、その経路になる。
洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、温水便座。この四つは、繋いでおきたい。

ないなら、どうするか

選択肢は三つある。
管理会社に工事を求める。漏電を検知する部品を挟む。設置場所そのものを変える。
延長コードで別の部屋のアース端子まで引く、という方法を思いつく人がいるけれど、これは避ける。理由は後で書く。

まず、本当にないのか確認する

蓋が閉じているだけの場合がある

コンセントの下部に、指で開く小さな蓋が付いている型がある。
閉じていると、平らに見える。うちの住人が、ないと思い込んで三か月使っていた場所に、実は蓋があった。
爪を下の縁に引っかけて、上に持ち上げる。中に金属のねじが見えたら、それがアース端子。
懐中電灯で照らして、コンセントの周囲をよく見る。壁紙と同色で目立たない造りのものがある。

洗濯機置き場の壁と、床を見る

コンセントとは別の位置に、単独の端子が付いていることがある。
洗濯パンの脇、給水栓の下、あるいは壁の低い位置。
うちが借りた一件は、洗濯機を置いたら隠れる位置に付いていた。設置後に気づいて、本体を引き出して繋いだ。
先に見つけておくと、七十キロを動かす手間が省ける。

台所と洗面所で、有無が違う

建物が古いと、後から増設した部屋にだけ端子がないことがある。
うちの一件は、台所のコンセントにはあって、洗面所にはなかった。
電子レンジは繋げて、洗濯機は繋げない。そういう半端な状態になる。
家中のコンセントを一度確認しておくと、家電の配置を考えるときの材料になる。

管理会社に、どう伝えるか

安全に関わる話として出す

連絡の仕方で、対応が変わる。
洗濯機置き場にアース端子が設置されていないため、洗濯機のアース線を接続できない状態です。この一文を、文字で送る。
電話ではなく、メールかアプリのメッセージ。記録が残る形にする。
写真を添える。コンセント周りと、垂れ下がったアース線の両方。
うちの三件のうち一件は、この連絡で電気工事の業者が来た。費用の負担はなかった。

断られることもある

残りの二件は、対応が渋かった。
建物の構造上、増設が難しいという説明。あるいは、現状のままで使ってくださいという回答。
築年数が古いと、壁の中に接地のための線が通っていないことがある。増設には、分電盤からの配線工事が必要になる。数万円の話になる。
貸主が費用を出すかどうかは、交渉になる。
うちは一件、費用を折半する形で工事してもらった。自分の負担は一万二千円だった。

退去時の扱いを、先に確認する

自費で工事する場合、退去時にどうなるか聞いておく。
原状回復を求められるのか、そのまま残していいのか。
うちは、そのまま残す形で合意した。書面に一行入れてもらった。
口約束だと、退去のときに担当者が替わっていて、話が通じないことがある。

工事ができない場合の、代わりの手

漏電を検知する部品を、コンセントに挟む

これが現実的な選択肢になる。
コンセントと家電のプラグのあいだに挟む、漏電遮断機能の付いたアダプタ。ホームセンターや電気店で買える。三千円から六千円ほど。
電気が漏れた瞬間を検知して、電流を遮断する。
アース線を繋ぐのとは仕組みが違う。電気を地面に逃がすのではなく、そもそも流れを止める。
うちの住人が洗濯機に使っている。二年経つが、誤作動で切れたことはない。

選ぶときに見る数字

製品には、感度と動作時間が書かれている。
感度は十五ミリアンペア、動作時間は零点一秒以内。この条件を満たすものを選ぶ。
数字が明記されていない安価な製品は避ける。
定格の電流も確認する。洗濯機や電子レンジは消費電力が大きいので、それに対応したものが要る。
うちは十五アンペアのものを使っている。

これは、アースの完全な代わりではない

正直に書いておく。
漏電遮断は、漏れた電気を検知して止める仕組み。止まるまでのわずかな時間、電気は流れている。
アース線は、そもそも人体に流れないよう逃がす。役割が違う。
工事ができるなら、工事のほうがいい。できないときの次善の手として使う。
うちは、可能な限り管理会社に交渉して、それでも駄目だった場合にこれを使う順番にしている。

やってはいけないこと

水道管や、ガス管に繋ぐ

昔はこれをやっていた時代がある。今は駄目。
現在の水道管は樹脂製のものが多く、電気を通さない。逃がしたつもりが、逃げていない。
ガス管に繋ぐのは、火災の危険がある。絶対にやらない。
うちの前の入居者が、洗濯機のアース線を給水管に巻き付けていた形跡があった。テープで留められていた。外した。

別の部屋から、延長して引く

アース端子のある部屋から、線を伸ばしてくる。
やりたくなる気持ちは分かるけれど、線が長くなるほど、逃がす能力が落ちる。
それに、部屋をまたぐ配線は、ドアや床を横断する。踏まれて断線すれば、繋がっていないのと同じ状態になる。しかも、繋がっているつもりでいる。
繋がっていないと分かっている状態のほうが、まだ扱いやすい。

線を切って、短くする

届かないから切る、という発想。
アース線は、断面積が決まっている。切って細い線と繋ぐと、そこで能力が落ちる。
接続部を素人がねじっただけの状態は、経年で緩む。
延長が必要なら、専用の線と圧着端子を使う。あるいは、家電の設置位置を変える。

設置場所を、変えるという発想

アースのあるコンセントに、家電を寄せる

遠回りに見えて、これが一番確実。
電子レンジなら、置く場所を変えられることが多い。台所の中で、端子のあるコンセントの近くに移す。
うちの一件は、レンジを冷蔵庫の上から、別の棚に移動させた。それだけで解決した。
洗濯機は動かせないが、レンジや小型の家電なら融通が利く。

温水便座は、優先度が高い

水を扱う電気製品で、直接体が触れる。
トイレのコンセントにアース端子がない物件は、実は多い。
うちの一件がそうだった。管理会社に伝えたら、この件だけは工事に応じてくれた。トイレは優先度が高いという判断だったらしい。
交渉するなら、この場所から切り出すと通りやすい。

そもそも繋がない家電もある

すべての家電にアース線が付いているわけではない。
二重に絶縁された構造の製品は、アース線がない。パソコンや、多くの小型家電がこれ。
線が付いていない家電について、アースがないと悩む必要はない。
線が付いているものだけ、対処を考える。

入居前に、確認しておくこと

内見のとき、コンセントの下を見る

物件を見に行った段階で確認できる。
洗濯機置き場、台所、トイレ。この三か所のコンセントをしゃがんで見る。
不動産会社の担当者の前でしゃがむのは、少し気まずい。でも入居後に気づくより、ずっといい。
うちの住人は、この確認をして、端子のない物件を候補から外した。

ある物件を選ぶのが、一番早い

身も蓋もないが、これが結論。
築年数が新しい物件は、ほぼ確実に付いている。
古い物件を選ぶなら、この点を事前に確認して、なければ入居前に交渉する。入居後より、契約前のほうが要求は通りやすい。
うちの住人が、契約前に工事を条件として出して、応じてもらった例がある。

写真を、残しておく

入居時のコンセント周りを撮っておく。
退去時に、何かを外した跡があると指摘されることがある。
最初から何もなかったことを示す記録になる。
うちは入居日に、全室のコンセントを撮っている。三分で終わる作業。

先月、洗面所の壁に小さな箱が増えた。
コンセントに挿さった漏電遮断のアダプタ。その先に、洗濯機のプラグ。
本体の裏から出ていた黄緑の線は、今もまだ行き場がないまま、丸めて留められている。
「これ、緑のやつは結局どうするんですか」
繋ぐ先ができるまで、そのまま。
洗濯機が動き出して、給水の音が壁の中から響いてきた。床は、乾いていた。

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この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
節約、家事、収納、コミュニティづくりまで、みんなで暮らすからこそ生まれる知恵を発信してます。

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