配信を見返したら、自分の顔だけ暗く沈んでいた
顔出しでゲーム配信を始めて、アーカイブを見返した。ゲーム画面はきれいなのに、隅に映る自分の顔だけ、なぜか暗い。目の下に影が落ちて、なんだか疲れて不機嫌そうに見える。
都内のシェアハウスに住むMさんが、そのときのことを話す。「部屋の電気はちゃんとつけてたんですよ。なのに配信だと顔が暗くて。コメントで、体調悪いんですか?って心配されて、いや元気なんですけどって(笑)。カメラが安いのかなって思ってたんですけど、どうも違うみたいで」。
ゲーム配信の照明。検索する人は、Mさんのように顔の映りに悩んでいることが多い。先に大事なことを言う。配信の見栄えを決めるのは、カメラより照明だ。そして照明で大事なのは、明るさより当てる角度になる。高いカメラを買う前に、光をどこから当てるかを見直すほうが、ずっと効く。なぜ角度なのか、その正解と、顔が暗い問題の直し方を、Mさんの配信をたどりながら整理していく。
シーリングライトだけだと、顔が暗く沈む理由
まず、なぜ部屋を明るくしているのに顔が暗いのか。その理由を知ると、対処が見えてくる。
部屋の照明は、天井の真ん中についている。多くの配信者は、壁を向いて座っているので、天井の光は顔に対して軽い逆光になる。すると顔側が影になって、暗く写ってしまう。逆の方向を向いたとしても、光源が真上にあるので、眉のあたりの影が目にかかって、目の下がくまのように暗くなる。パンダのような状態だ。
Mさんの顔が暗く沈んでいたのは、この天井照明だけの環境が原因だった。カメラが悪いのではなく、光の当たり方が悪い。だから、顔を照らす照明を一つ足すだけで、同じカメラでも映りが劇的に変わる。ここが出発点になる。
照明で最も大事なのは、当てる位置
斜め45度、少し上から当てる
照明を足すとき、多くの人がやりがちなのが、顔の真正面から強く当てることだ。でも、これは正解ではない。
最も自然に見えるのは、自分の左右どちらかの、前方斜め45度くらいの方向から、少し高い位置に照明を置くことだ。この角度から光を当てると、頬から耳にかけて、いい具合になだらかな陰影ができる。顔が立体的に見えて、ぐっと引き締まった印象になる。
やってはいけない当て方もはっきりしている。顔の真下から当てると、お化け屋敷のように怖い顔になる。真正面から平べったく当てると、陰影がなくなって顔がのっぺり見える。光は、少し斜め上から。この一点を守るだけで、顔の映りは見違える。明るくすることばかり考えて、正面から強い光を浴びせても、立体感のない顔になってしまう。
もう一灯足すなら、反対側から弱く
一灯でも十分効果があるが、もう一歩進めるなら、二灯目の考え方も知っておきたい。
メインの照明を斜め45度から当てたら、その反対側に、もう一つ弱い光を置く。メインの半分から4分の1くらいの明るさにする。こうすると、メインの光でできた濃い影がやわらいで、顔全体が自然に整う。メインの光を主役、反対側の弱い光を補助、と役割を分けるのが、プロも使う基本の考え方だ。
ただし、初心者がいきなり二灯を完璧に配置するのは難しい。まずはメインの一灯を斜め上から当てるところから始めれば、それだけで劇的に改善する。余裕が出てきたら、補助の光や背景の光を足していく。段階的に増やすのが、無理のないやり方だ。
色温度を合わせないと、肌が不自然になる
配信は5000から5500Kが自然
明るさと位置の次に大事なのが、光の色だ。光には色温度という尺度があり、ケルビンという単位で表される。
ゲーム配信や雑談配信で顔出しをするなら、5000から5500Kくらいの白い光が、最も自然に見える。これより低い3000Kくらいの電球色だと、顔が黄色っぽく映る。逆に6500Kくらいの高い色温度だと、青白くて冷たい印象になる。明るさだけでなく色温度も調整できる照明を選ぶと、環境に合わせて自然な肌色に整えられる。
部屋の照明と、色を揃える
見落としがちなのが、部屋の照明との色の統一だ。
配信用の照明と、天井の部屋の照明で色温度がバラバラだと、複数の色の光が混ざって、肌の色が不自然に転んでしまう。部屋の照明が白っぽい昼白色なら、配信用の照明も同じ白系に合わせる。部屋が暖色系なら、配信用も暖色寄りにする。光の色を揃えることが、自然な映りの土台になる。あわせて、カメラのホワイトバランスを固定しておくと、色が安定する。
ゲーム配信ならではの、モニター反射という落とし穴
リングライトは横から30度ほどで当てる
ここが、ゲーム配信で特に気をつけたいポイントだ。顔出し配信で人気のリングライトには、ゲーム配信特有の弱点がある。
リングライトは、目に丸いキャッチライトが入って、設置も簡単で、机の上でも省スペースな、コスパのいい照明だ。ただし、正面から当てる構造なので、ゲーム配信でモニターの前に置くと、その光がモニター画面に映り込んでしまう。ゲーム画面が見づらくなり、配信の映像にも反射が入る。
これを避けるには、リングライトを顔の真正面ではなく、横から30度から45度くらいの角度で当てるといい。モニターへの映り込みを抑えつつ、顔を照らせる。リングライトはメガネの反射も出やすいので、メガネをかけている人は、ライトを少し高くして顔をやや下向きにすると、反射が消える。ゲーム配信では、この反射対策が地味に効いてくる。
パネルライトなら、光の向きを操りやすい
モニター反射をより根本的に避けたいなら、パネルライトという選択肢もある。
四角い面から光を出すパネルライトは、光の方向をコントロールしやすいのが特徴だ。リングライトのように正面固定ではないので、斜め上から当てる理想の配置を作りやすい。大きさと性能のバランスがよく、本格的なライティングに向いている。柔らかい光で顔の影を減らしたいなら、光を拡散させるソフトボックスタイプも効果的だ。ゲーム配信で顔も画面もきれいに見せたいなら、光の向きを操れるパネル系が扱いやすい。
予算別の始め方と、よくある失敗の直し方
入門は1万円、まず一灯から
照明にいくらかけるべきか。予算別の目安がある。
入門なら、リングライト一台で5000円から1万円ほど。これだけでも、顔の明るさが改善して、瞳にキャッチライトが入る。もう少し配信映えを狙うなら、12から14インチのリングライトに、背景を彩るLEDテープライトを足して、8000円から1万2000円ほど。多くの配信者に勧められる構成だ。本格的に揃えるなら、しっかりしたキーライトに補助のパネルを足して、3万円から5万円が目安になる。
大事なのは、いきなり全部揃えようとしないことだ。まずメインの一灯を斜め上から当てる。それだけで映りは激変する。物足りなくなったら足していけばいい。照明は画質への影響が大きいので、カメラより先に投資する価値がある。
白飛び・くま・反射は、こう直す
照明を足したあとに起きがちな失敗と、その直し方も知っておきたい。
顔が白く飛んでしまうなら、照明の出力を下げるか、顔から少し離すか、光を和らげる拡散材を一枚足す。目の下のくまが強く出るなら、ライトを高くしすぎず、正面寄りに少し下げて、やわらかく当てる。肌の色が不自然なら、混ざっている照明を消して、色温度を統一する。背景が真っ暗で顔だけ浮くなら、背景に光を足して、壁から40から80センチ離してふんわり照らす。カメラのフレームレートと照明が合わずに画面がちらつくなら、ちらつきを抑えたフリッカーフリー対応の照明を選ぶ。失敗のほとんどは、位置と出力と色の微調整で直せる。
シェアハウスの自室配信で、映りを改善した話
Mさんの配信の顔映りは、どう変わったか。
まず、5000円ほどのパネルライトを一つ買って、顔の斜め45度、少し上から当てた。「これだけで、顔が明るくなって立体的に見えるようになって。もう体調心配されなくなりました(笑)。カメラは何も変えてないのに、こんなに変わるんだって驚きました」。さらに、モニターに映り込まないよう横からの角度に調整し、部屋の照明と色温度を合わせた。
シェアハウスの自室配信ならではの工夫もあった。「部屋が狭いから、大きいソフトボックスとかは置けなくて。だから省スペースなパネルライト一灯で、位置と角度を工夫する方向にしたんです」。同じシェアハウスで配信を始めたメンバーにも、まず一灯を斜め上から、という基本を教えたという。狭い部屋でも、当て方さえ正しければ、プロっぽい映りに近づけた。
見えてきたのは、ゲーム配信の照明は、高い機材より当て方が結果を決めるという事実だった。斜め45度・少し上から当てる。色温度を5000から5500Kにして部屋と合わせる。ゲーム配信ではモニター反射を避けて横から当てる。この基本を押さえて、まず一灯から始めれば、顔が暗い問題は解決する。配信の隅で自分の顔が沈んでいたあの日から、Mさんの画面には、明るく立体的な顔が映るようになった。

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