柔軟剤をやめてクエン酸にしたら、仕上がりが違った
節約のために、柔軟剤をクエン酸に切り替えてみた。洗い上がったタオルを畳もうと手に取った瞬間、あれ、と思った。いつものふんわりした厚みがない。すっきりしているけれど、あのもこもこ感が消えている。
都内のシェアハウスに住むMさんが、そのときのことを話す。「クエン酸が柔軟剤の代わりになるって聞いて試したんですけど、仕上がりがなんか違って。悪くはないんだけど、思ってたふわふわじゃない。これって失敗なのかな、デメリットあるのかなって、タオルを握りながら首をひねりました」。
クエン酸を柔軟剤代わりにするデメリット。検索する人は、Mさんのように試して仕上がりに戸惑ったか、切り替える前に不安なことが多い。先に言う。デメリットは確かにある。ただ、その多くは市販柔軟剤の裏返しで、デメリットがそのままメリットにもなる。何を求めるかで、向き不向きが決まる。デメリットの中身と、それを避ける使い方を、Mさんのタオルをたどりながら整理していく。
デメリットの正体は、仕組みの違いにある
まず、なぜクエン酸だとふわふわにならないのか。その理由を知ると、デメリットの見え方が変わる。
市販の柔軟剤は、主成分の界面活性剤で繊維をコーティングして、すべりをよくし、ふんわりと仕上げている。髪に使うコンディショナーのような役割だ。一方、クエン酸は繊維をコーティングしない。洗濯物に残った洗剤カスを、酸の力で中和して取り除くことで、ごわつきを抑えてなめらかにする。
つまり、ふわふわにする仕組みが根本的に違う。コーティングでふくらませる柔軟剤と、洗剤カスを落としてすっきりさせるクエン酸。Mさんが感じた、ふわふわじゃないという違和感は、この仕組みの差から来ていた。デメリットに見えるこの性質が、実は利点にもなる。ここからが本題だ。
クエン酸を柔軟剤代わりにする、4つのデメリット
デメリット1 ふんわり感が、市販柔軟剤に劣る
最も感じやすいのが、これだ。仕上がりのふわふわ感で比べると、市販の柔軟剤のほうがすぐれている。
クエン酸は繊維をコーティングしないので、柔軟剤のような、包み込まれるようなふくらみは出にくい。もこもこの厚みや、頬ずりしたくなるようなふわふわを求めているなら、物足りなく感じる。Mさんのタオルの仕上がりが、まさにこれだった。ふわふわを最優先する人にとっては、はっきりデメリットになる。
デメリット2 香りが、まったくつかない
見落としがちなのが、香りの問題だ。クエン酸は無臭なので、衣類に香りはつかない。
市販の柔軟剤には、たいてい香りがついている。洗い上がりのいい香りを楽しみにしている人には、クエン酸の無臭は物足りない。ふんわり香る仕上がりが好きなら、これはデメリットだ。ただし、クエン酸にアロマオイルを数滴混ぜて使えば、好みの香りをつけることもできる。無香が寂しいなら、この工夫でカバーできる。
デメリット3 投入にひと手間かかる
使い方の面でのデメリットもある。クエン酸は、すすぎの段階で投入するのが好ましい。
洗いの最初から入れると、アルカリ性の洗剤と中和して、洗浄効果が落ちてしまう。だから、洗いが終わってすすぎに入るタイミングで、一度洗濯機を止めて投入する必要がある。この一時停止のひと手間が、面倒に感じる人もいる。特にドラム式洗濯機は、途中で扉を開けにくいので、クエン酸を水に溶かして柔軟剤投入口にセットしておく、という別の手間がいる。市販柔軟剤なら最初に入れるだけなので、この差はデメリットになる。
デメリット4 静電気・花粉予防の効果は弱い
機能面での違いもある。市販の柔軟剤には、静電気の発生を抑えたり、花粉の付着を防いだりする効果を持つ商品がある。
繊維をコーティングすることで、こうした付加機能が生まれる。クエン酸にも静電気を抑える働きはあるが、市販柔軟剤ほどの多機能さは期待しにくい。外気に触れることが多いアウターやコート類で、花粉や静電気をしっかり防ぎたいなら、市販の柔軟剤のほうが向いている。この点は、用途によってデメリットになる。
デメリットの裏返しが、そのままメリットになる
コーティングしないから、タオルの吸水力が落ちない
ここが、この記事で最も伝えたいことだ。クエン酸のデメリットは、見方を変えるとメリットになる。
市販の柔軟剤は、繊維をコーティングしてふわふわにする代わりに、タオルの吸水性を低下させてしまう。だから、タオル類への柔軟剤使用は推奨されないことが多い。使い続けると、水を吸わないタオルになっていく。
一方、クエン酸はコーティングしないので、吸水性を保ったまま、なめらかに仕上がる。ふわふわ感では劣るが、タオル本来の吸水力は落ちない。むしろ、タオルや衣類が長持ちする。Mさんが感じた、すっきりした仕上がりは、吸水力を保ったクエン酸ならではのものだった。ふわふわを取るか、吸水力を取るか。ここが選択の分かれ目になる。
無香と肌へのやさしさが、うれしい人もいる
香りがつかないことも、裏を返せばメリットだ。
柔軟剤の香りが苦手な人、香りに敏感な人にとって、無臭のクエン酸はありがたい。人工的な香りが衣類に残らないので、香りに悩まされずに済む。さらに、クエン酸は界面活性剤を含まないので、肌にやさしい。柔軟剤の成分が衣類に残って肌トラブルを起こす心配が少なく、敏感肌の人や赤ちゃんの衣類にも使いやすい。天然由来の成分で、環境にもやさしく、排水を気にせず使える。香りとふわふわを求めないなら、これらは大きな利点になる。
デメリットを避ける、正しい使い方
入れすぎず、すすぎに入れ、洗剤と混ぜない
クエン酸のデメリットの一部は、使い方を間違えたときに起きる。正しく使えば避けられる。
まず、入れすぎないこと。量が多すぎると、すすぎきれずに衣類に残り、繊維を傷めたり、肌に刺激を与えたりする。さらに、金属製の洗濯槽や衣類の金属部分にクエン酸が残ると、サビや変色の原因になる。目安は、すすぎの水40リットルに対して小さじ1杯ほど、水10リットルなら1から2グラムほど。この適量を守れば、槽のサビや衣類の傷みは防げる。
次に、投入のタイミングだ。必ずすすぎの段階で入れる。洗いの前や途中で入れると、洗剤と中和して洗浄効果が落ちる。洗剤とクエン酸は、同じところに入れず、別々に。クエン酸は単体で使う。そして、粉末のまま投入口や槽に入れると溶け残ってこびりつくので、水で溶かしてから使う。すすぎはしっかり行って、衣類にクエン酸を残さない。
塩素系漂白剤とは、絶対に混ぜない
安全面で、絶対に守るべき一点がある。クエン酸と塩素系漂白剤を一緒に使ってはいけない。
クエン酸のような酸性のものと塩素系漂白剤が混ざると、有毒なガスが発生して危険だ。洗濯でこの二つが混ざるタイミングは基本的にないが、掃除などで併用しないよう、頭に入れておきたい。これは、クエン酸を使ううえで最も大事な安全の注意点になる。
シェアハウスの共用洗濯機で、クエン酸に切り替えた話
Mさんは結局、クエン酸をどう使うことにしたか。
タオルや肌着にはクエン酸、静電気が気になる冬のニットやアウターには市販の柔軟剤、と使い分けることにした。「ふわふわじゃないのがデメリットだと思ってたけど、タオルの吸水力が全然違うことに気づいて。汗をふいたときのぐんぐん吸う感じが戻ってきて。あ、これはこれでアリだって」。
共用洗濯機を使うシェアハウスならではの発見もあった。「共用の洗濯機だと、前に使った人の柔軟剤の香りが残ってることがあって。人によっては、その香りが苦手だったりするんですよね。クエン酸は無香だから、香りの問題が起きない。それも切り替えてよかった点でした」。香りに敏感なメンバーがいたので、共用部で使う分にはクエン酸が気兼ねなくて助かる、という声もあったという。
見えてきたのは、クエン酸を柔軟剤代わりにするデメリットは、求めるものによって利点にもなるという事実だった。ふわふわ感と香りは弱いが、吸水力は保たれ、肌にやさしく、無香で気兼ねがない。入れすぎず、すすぎに入れ、洗剤や漂白剤と混ぜない。この使い方を守れば、タオルや肌着にはむしろ好都合な代役になる。ふわふわじゃないタオルに首をひねったあの日から、Mさんは用途でクエン酸と柔軟剤を使い分けて、それぞれのいいところを取っている。

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