非常に良いと書かれた本に、線が引かれていた
シェアハウスの共用本棚に置く本を、Amazonの中古で買った。新品より千円以上安いのに、コンディションは非常に良い。これはお得だと、迷わずカートに入れた。
届いた本を開いて、指が止まった。ページに、黄色いマーカーの線が何本も引かれている。
都内のシェアハウスに住むMさんが、そのときのことを話す。「非常に良いって書いてあったのに、なんで線が引いてあるの?って。本当に非常に良い状態なのかな、この評価って何を基準に決まってるんだろうって、モヤモヤしたまま本を閉じました」。
Amazonの中古品、非常に良いとは。検索する人は、Mさんのように買う前に基準を知りたいか、届いた商品との落差に戸惑っていることが多い。先に大事なことを言う。非常に良いは、目立つ傷や汚れがほとんどなく、機能に問題のない状態を指す。ただし、この基準を最終的に判断するのは、Amazonではなく出品者だ。だから、ランクだけを信じて買うと外す。基準の中身と、外さないための見極め方を、Mさんの本をたどりながら整理していく。
非常に良いは、上から2番目のランク
まず、Amazonの中古品がどう分かれているのかを押さえたい。
Amazonの中古品は、状態のいい順に、ほぼ新品、非常に良い、良い、可という4段階に分類される。非常に良いは、上から2番目にあたる。
どのランクでも共通する必須条件がある。正常に機能することだ。そのうえで非常に良いは、使用されてはいるものの、非常に良好なコンディションを保っている状態を指す。わずかな使用感はあるが、目立つ傷や汚れがほとんどなく、すべての機能が正常に働く。パッケージが損傷しておらず、説明書やアクセサリーがそろっていることが多い。家電で言えば、液晶に保護フィルムが貼ってあって傷がなく、付属品も完備、といった状態がこれにあたる。
ひとつ上のほぼ新品との違いは、完璧さだ。ほぼ新品は、説明書や同梱品も含めて完璧に機能し、ギフトとして渡せるほどきれいな状態が求められる。その条件は満たさないが、使用感がなく傷や汚れが目立たない。それが非常に良いの立ち位置になる。
非常に良いと良いの違いは、どこにあるのか
ガイドライン上の差は、軽度か重度かだけ
多くの人が迷うのが、非常に良いと良いの違いだ。ここに、この記事で最も伝えたい事実がある。
Amazonのガイドラインを見比べると、この二つの差は驚くほど小さい。使用状態について、非常に良いは使用軽度、良いは使用重度。商品本体や同梱品の汚れや傷について、非常に良いは微細、良いは多い。差はこれだけだ。同梱品、部品、製品保証といった他の項目は、どちらもまったく同じことが書かれている。
つまり、非常に良いと良いを分けているのは、傷が軽度か重度か、汚れが微細か多いか、という感覚的な差でしかない。数値で決まっているわけではない。この判断を下すのは、Amazonではなく出品者自身だ。だから、ある出品者の良いのほうが、別の出品者の非常に良いよりきれいだった、ということが平気で起こる。
非常に良いでも、付属品が欠けていることがある
もうひとつ、見落とされがちな点がある。非常に良いには、一部の付属品が不足している商品が含まれうる。
小さな傷や表面上の汚れがあったり、一部の付属品が足りなかったりする場合、そのコンディションは非常に良いになる。欠けている付属品は商品説明に明記されるはずだが、その記載を読み飛ばすと、届いてから足りないことに気づく。
特に本の場合、語学書や技術書に付いているCDやDVD、オンラインコンテンツのシリアルコードは、中古では欠品していることが多い。コードは一度使われると再利用できないので、用紙ごと切り取られていることもある。付属品完備という記載がない限り、ディスクやコードは付いていないものと考えたほうがいい。
本の場合は、もっと明確な基準がある
Mさんのようにマーカーの線に驚いたケースは、実は基準違反の可能性がある。本には、独自のコンディション基準があるからだ。
本の非常に良いは、使用されているが非常にきれいな状態で、ページも完全な状態、書き込みや線引きがなく、背表紙にも傷がない商品を指す。つまり、非常に良いの本に、書き込みや線引きがあってはならない。
ひとつ下の良いになると、条件が緩む。背表紙に多少の傷があってもいい。そして、半分以下のページに書き込みや線引きがあってもいい。蔵書印が付いていてもいい。可は、文字が問題なく読める状態というのが最低ラインだ。
Mさんが受け取ったマーカーだらけの本は、本来なら良い、あるいは可とすべき商品だった。書き込みのない本が欲しいなら、非常に良い以上を選ぶ。そのうえで、届いたものが基準から明らかに外れていたら、返品や返金を申請していい。ガイドラインは、購入者を守るためにもある。
ランクより信じるべき、3つの見極めポイント
ポイント1 コンディション説明を必ず読む
ランクだけで判断すると外す。では、何を見ればいいのか。最も大事なのが、出品者が書いているコンディション説明だ。
帯あり、ページは良好、カバーに多少の使用感や擦れがあります。こうした具体的な記述こそが、実際の状態を教えてくれる。ランクは目安にすぎず、この詳細説明が最終的な決め手になる。
ここで、出品者の質を見抜くコツがある。1点ずつ丁寧に状態を記述している出品者は、検品をしっかりやっている証拠だ。逆に、説明文が極端に短かったり、すべての商品に同じ定型文を貼り付けていたりする出品者は、検品が不十分な可能性がある。手間をかけて個別に説明している出品者ほど、信頼できる。
ポイント2 出品者の評価を確認する
次に見たいのが、出品者の評価だ。
Amazonのマーケットプレイスには、多くの古書店や個人が出品していて、検品の精度や管理体制には大きな差がある。評価の数と内容を見れば、その出品者がどれくらい正確にコンディションを判断しているかが、ある程度わかる。
コンディションが実際より良く書かれていた、という不満が評価に並んでいる出品者は避ける。逆に、状態の説明が正確だったという評価が多いなら、そのランク表記は信じていい。ランクを信じるのではなく、そのランクを付けた人を信じる。この発想の切り替えが、失敗を減らす。
ポイント3 価格差が小さいなら、上のランクを買う
最後に、実践的な選び方の指針を挙げておく。
非常に良いと良いで、価格差がわずかなら、迷わず非常に良いを選ぶ。数十円から数百円の差で、届く商品の状態が大きく変わることがある。安いほうを選んで後悔するより、少し払って安心を買うほうが、結果的に満足度が高い。
逆に、状態にこだわらず、内容さえ読めればいい、機能さえすればいいという場合は、良いや可を選んで大幅に安く買う。用途に応じて基準を使い分けると、期待と実物のギャップを最小限に抑えられる。資料として使い倒す本なら、可でも十分に元が取れる。
シェアハウスの共用本棚で決まった、中古品の買い方
Mさんのマーカーだらけの本は、どうなったか。
本の非常に良いには書き込みがあってはならないと知って、Mさんは出品者に連絡し、返品して返金を受けた。「基準を知らなかったら、こんなもんかって諦めてました。ちゃんと基準があるって知ってるだけで、泣き寝入りしなくて済むんだって」。
共用本棚に置く本を買うときの、シェアハウスなりの工夫も生まれた。「みんなで読む本だから、書き込みがあると次の人が読みにくいんですよ。だから共用本棚用は、非常に良い以上で、コンディション説明に書き込みなしって明記されてるものを選ぶ、って決めました」。逆に、自分だけが読む実用書は、可でも安く買う。用途で分けるようになったという。
見えてきたのは、Amazonの非常に良いは、目立つ傷や汚れがなく機能に問題のない状態を指すが、その判断を下すのは出品者だという事実だった。ランクは目安にすぎない。コンディション説明を読み、出品者の評価を確認し、価格差が小さければ上のランクを選ぶ。この三つを押さえれば、届いてから落胆することはない。マーカーの線に指を止めたあの日から、Mさんは中古品を買うとき、必ず説明文まで読むようになった。

コメント