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賃貸のフローリングにカビ!退去費用を防ぐ落とし方とやってはいけないNG掃除

目次

布団をどけた床に、黒い輪が広がっていた

久しぶりに敷きっぱなしの布団を上げたら、床に黒っぽい点々が浮いていた。

都内のシェアハウスに住むKさん(20代)は、その場にしゃがみ込んだ。「拭けば取れると思って雑巾でこすったら、逆に黒い輪がじわっと広がって。あ、これ拭いちゃダメなやつだったって、手が止まりました。頭の中をよぎったのは退去費用の3文字です」。

賃貸のフローリングにカビ。検索する人の頭にあるのは、たぶん二つの不安だ。どう落とせばいいのか。そして、退去のとき自分が払うことになるのか。この二つに、曖昧にせず順番に答えていく。間違った落とし方をすると、カビが取れるどころか床を傷つけて費用が膨らむ。だから手順より先に、やってはいけないことから話す。

カビの掃除は、借主負担になることがほとんど

最初に、お金の話をはっきりさせる。

賃貸の原状回復は、国土交通省のガイドラインで線引きされている。経年劣化や自然な損傷は大家さん負担、借主の過失による損傷は借主負担だ。そしてフローリングのカビは、借主の過失とみなされることがほとんどになる。換気を怠った、結露を放置した、布団を敷きっぱなしにした。こうした生活上の管理不足が原因と判断されるからだ。

カビを残したまま退去すると、どうなるか。フローリングのクリーニング代は10畳で1〜2万円、張り替えになると6畳で10〜15万円が相場とされる。敷金で足りなければ追加請求もありうる。「たかがカビ」と放置した代償が、十数万円の請求書になって戻ってくる。だからこそ、生えた時点で正しく取りきることに、はっきり意味がある。

絶対にやってはいけない、3つのNG掃除

塩素系漂白剤(カビキラー等)は床を侵す

カビと聞いて多くの人が手に取るカビキラーやキッチンハイター。これをフローリングに使うのは、最もやってはいけない選択だ。

浴室のカビには効くこれらの塩素系漂白剤は、フローリングには強力すぎる。表面のコーティングを剥がし、白い跡や変色のシミを残す。カビは取れたけど床が脱色した、では本末転倒で、そのシミ自体が新たな原状回復の対象になる。一般にフローリングへの使用は推奨されていない。

重曹とお酢も、傷とシミの原因になる

ナチュラル洗剤として人気の重曹も、フローリングでは要注意だ。研磨作用があるため、こすると表面に細かい傷をつける。お酢も酸でコーティングを傷める可能性があり、どちらもカビ取りの定番として紹介されがちだが、こと賃貸の床に関しては避けたほうがいい。

よかれと思って使った身近なものが、床を傷つけて費用を押し上げる。Kさんが雑巾で力任せにこすって黒い輪を広げたのも、この系統の失敗だ。カビ掃除は、力でも強い薬剤でもなく、正しい薬剤を静かに使うのが正解になる。

濡れ拭きでこすり広げる

カビを見つけて、まず水拭き。これも避けたい。

カビの胞子は水で湿ると周囲に散り、こする動作でさらに広がる。Kさんの黒い輪はまさにこれだった。乾いた状態のカビに、いきなり水を足してこするのは、菌を培養しながら塗り広げているのに近い。

フローリングのカビを安全に落とす手順

消毒用アルコールを吹いて、押さえ拭きする

賃貸の床に使える、最も安全で効果的な道具は消毒用エタノール、つまり消毒用アルコールだ。

手順はこうだ。まずカビの部分にアルコールをスプレーする。すぐに拭かず、5分ほど置いてカビを殺菌する。それから乾いた布で、こするのではなく上から押さえるように拭き取る。胞子を広げないために、外側から中心へ向かって畳み込むイメージで拭くと、汚染範囲を狭く保てる。一度拭いた面は使わず、布をこまめに替える。

アルコールが手元になければ、フローリング専用のカビ取り剤か、薄めた中性洗剤でも代用できる。中性洗剤を使った後は、洗剤が残らないよう固く絞った布で水拭きし、最後に必ず乾拭きして水分をゼロにする。

板の溝は歯ブラシで、点で攻める

表面のカビが取れても、安心はできない。フローリングは板と板の間に細い溝があり、拭き掃除では届かないカビがそこに残る。

溝に残ったカビは、使い古しの歯ブラシや爪楊枝で掻き出す。アルコールを含ませた綿棒で溝をなぞるのも効く。ここを面倒がって飛ばすと、数日後に同じ場所からカビが再発する。せっかくの掃除が振り出しに戻るので、溝こそ丁寧に。点で攻めるのがコツだ。

作業中は窓を開け、換気を確保する。胞子を吸い込まないよう、マスクをつけたほうがいい。終わったら使った布は袋に入れて密閉して捨てる。再利用すれば、次に拭いた場所へカビを運ぶことになる。

入居者として、自分を守るために残す記録

入居時の写真が、退去時の盾になる

ここは取材を通じて、強く伝えたいと思った点だ。

カビが入居前からあった、あるいは建物の構造的な問題で発生したケースでは、借主負担にならない可能性がある。築年数が古く、もともと結露しやすい物件なら、その自然損傷分は大家さん負担と判断されることもある。

それを主張するための武器が、記録だ。入居した日に、床、壁、窓枠、押し入れの中まで写真を撮っておく。日付の残るスマホ撮影で十分だ。すでにシミや黒ずみがあれば、その場で管理会社に連絡して、入居前からあったと記録に残してもらう。証拠は時間が経つほど効力を失うので、気づいたその日のうちに動くのが鉄則になる。

Kさんは入居時の写真を撮っていなかったことを、このとき後悔した。「次に引っ越すときは、絶対に初日に部屋中を撮ります。あの黒い輪が元からあったものか自分のせいか、証明できないのが一番もどかしかった」。

結露の放置を防ぐのが、最大の予防策

カビ取りより大切なのは、生やさないことだ。フローリングのカビの主な原因は、湿気と結露の放置にある。

布団やマットレスの直敷きは、最も危険な習慣だ。寝ている間の汗が床との間にこもり、毎晩カビを育てる温床になる。すのこを一枚挟むだけで空気が通り、リスクが大きく下がる。観葉植物の受け皿の水、窓際の結露、こぼした飲み物の拭き残しも要注意ポイントだ。

そして何より換気。1日数分でも窓を開けて空気を入れ替えるだけで、室内の湿度がこもらなくなる。雨の日や冬場はサーキュレーターで空気を回す。湿気を一か所に滞留させないことが、カビ予防のほぼすべてと言っていい。

シェアハウスの共用部で起きたカビ騒動

Kさんの個室の一件には、続きがある。

自分の部屋のカビを処理した後、Kさんは気になって共用の脱衣所をのぞいた。案の定、洗濯機の裏の床が黒ずんでいた。共用部のカビは、誰の責任とも言いづらい。みんなが使う場所ほど、放置されて育ちやすい。

そこでKさんは、メンバーに声をかけて月1回の換気と水回りチェックを当番制にした。共用部のカビが退去時の精算でどう扱われるかは契約によるが、放置すれば建物全体の資産価値が落ち、めぐりめぐって自分たちの住環境に返ってくる。

取材で見えてきたのは、賃貸のカビ対策は発見の早さがすべてを決めるという事実だった。点のうちに消毒用アルコールで拭けば数分で終わる。輪になって板の溝まで根を張れば、張り替え費用の話になる。布団をどけた床に黒い点を見つけたら、こすらず、アルコールを吹く。今日からの正解は、それだけだ。Kさんの部屋の床は、あれから半年、黒い輪が戻ってきていない。

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屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
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