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ハイターで色落ちさせない方法、白物と色柄物の分かれ目

洗面所の棚に、白いボトルが二本並んでいた。
片方がハイター、もう片方がワイドハイター。名前は四文字違うだけ。ラベルの色づかいまで似ている。
ノゾミさんは片手にボトル、片手に紺色のシャツを持ったまま、しばらく動かなかった。襟の内側に、うっすらとした黄ばみ。落としたい。でも紺は落としたくない。
「どっちがどっちなのか、その場で調べてから使いました。前の職場で、真っ黒なエプロンに白い斑点を作った先輩を見てるので」
その判断が正しかった。この二本は、名前が似ているだけで中身がまったく別のもの。

目次

棚の二本は、狙っているものが違う

塩素系は、染料まで分解する

ハイターの主成分は次亜塩素酸ナトリウム。アルカリ性の塩素系漂白剤で、色素を根こそぎ壊す力を持っている。
問題は、この薬剤にシミの色素と衣類の染料を区別する能力がないこと。目の前にある色を、順番に分解していくだけ。
だから白物専用として売られている。白いワイシャツ、汚れの染みついたタオル、ふきん。もともと分解される色がない布に対して、いちばん強く働く。

酸素系は、汚れの色素だけを狙う

ワイドハイターやオキシクリーンは酸素系。過酸化水素や過炭酸ナトリウムが働く。
こちらは染料を脱色せず、シミやくすみ、においのもとを分解する。色柄物に使えるのはこの性質のおかげ。
家庭の洗濯だけを考えるなら、棚に置くのは酸素系の一本で足りる。塩素系が必要になるのは、真っ白に戻したいシャツと、台所まわりの除菌くらい。

色落ちさせない方法は、ボトルを持ち替えること

色柄物に塩素系を使う裏技はない

ここははっきり言い切る。薄める、短時間で上げる、部分的に塗る。どれをやっても色は抜ける。
濃度を下げれば進行が遅くなるだけで、方向は変わらない。三十秒で引き上げても、繊維の内側に入った成分は残り、すすぎが甘ければ数日後にじわりと色が薄くなる。
掃除に使った薄い塩素系が服に飛び、その場では何も起きず、時間が経ってから色が抜けていく。この時間差がやっかいで、原因に気づけないまま同じことを繰り返す人がいる。
検索している言葉は色落ちしない方法だとしても、答えは方法ではなく製品のほうにある。

抜けた色は戻らない

一度脱色した部分は、家庭では元に戻せない。
染め直しという手はあるけれど、同じ色を合わせるのが難しいうえに費用もかさむ。クリーニング店には色修正と呼ばれる技術があって、抜けた場所へ色を入れ直し、一メートル離れて見てわからない程度まで持っていくことはできる。
その相談ができると知っているだけで、捨てる判断が一段遅くなる。お気に入りの一着なら、聞いてみる価値がある。

白物なのに変色する、四つの落とし穴

襟と袖が黄色くなるのは、芯地の樹脂

白いワイシャツを塩素系で漂白したら、襟と袖口だけ黄ばんだ。この相談はとても多い。
型崩れを防ぐために芯地を樹脂で接着している製品があり、その樹脂が塩素系と反応して黄変する。汚れが残っているわけではないので、追加で漂白してもさらに濃くなるだけ。
シャツの襟だけは酸素系にしておく。ここを分けるだけで事故がひとつ減る。

日焼け止めが残っていると、赤く出る

首まわりや袖口がピンクや赤に変わることがある。日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤が、漂白剤と反応して起きる現象。
夏の白シャツで頻発する。漂白の前に、中性洗剤で該当箇所をもみ洗いして油分を落としておく。
これを知らないと、洗い方が悪かったのかと自分を責めることになる。原因は洗い方ではなく、順番。

ゴムとナイロンは、色より先に傷む

ポリウレタンは塩素系で劣化して、伸縮性を失う。下着やスポーツウェアのゴム部分がへたるのはこれ。
ナイロンやアセテートは黄変しやすい。白いレースやブラウスで、色が濃くなったように見えるのはたいていこの反応。
塩素系が問題なく使えるのは、綿、麻、ポリエステル、アクリルあたりまで。混紡表示を見ずに突っ込むと、素材のほうが先に音を上げる。

生成りとオフホワイトは、白ではない

染めていないように見えて、実際には淡い色がついている布。ここに塩素系を入れると、その色だけが抜けて青白くなる。
本人としては白くしたつもりが、質感がまるごと変わって別の布になる。
蛍光増白剤で白く見せている衣類も同じで、加工が落ちて色ムラが出ることがある。白い服だから大丈夫、という判断がいちばん危ない。

洗濯表示の三角を、五秒で読む

三種類だけ覚えればいい

タグに印刷された三角の記号。これが漂白の可否を示している。
何も入っていない白い三角は、塩素系と酸素系のどちらも使える。斜めの二本線が入った三角は、酸素系だけ。バツが重なっていたら、白物であっても漂白剤そのものが使えない。
つまり塩素系を使っていいのは、白抜きの三角がついているときに限られる。
表示を見ずにボトルを傾ける人が多いけれど、確認にかかる時間は五秒。開けた洗濯機の前でタグをめくる習慣がつくと、失敗はほぼ消える。

綿棒で五分のテスト

表示が読めなくなっている古着や、輸入品でタグが心もとないとき。
規定量に薄めた液を綿棒に含ませ、裾の内側など目立たない場所に塗って五分待つ。変色や色移りがあれば、その衣類には使えない。
白物の場合も、風合いが変わることがあるのでやっておいたほうがいい。綿棒を捨てるだけで済むか、一着を失うか。手間の差はほとんどない。

酸素系で、きちんと落としきる

液体と粉末を分ける基準

酸素系には液体と粉末があって、性格が違う。
液体は弱酸性で、ウールや絹にも使える幅の広さが持ち味。常温の水でも働く。日常の洗濯に足すならこちら。
粉末は弱アルカリ性で漂白力が上。染みついた黄ばみやカビにはこちらが向く。ただし毛と絹には使えない。
どちらも千円しない。二本そろえて、汚れの重さで使い分けるのが現実的なところ。

時間をかければ落ちる、わけではない

つけおきを長くするほど落ちると思われがちだけれど、洗浄が進むのは最初の十五分から二十分あたりまで。
それを過ぎると、汚れはさほど落ちないのに繊維へのダメージだけが積み上がる。粉末タイプを使うなら三十度から五十度のお湯で三十分ほど、が目安。
一晩つけて翌朝引き上げる、という運用は繊維を痩せさせる。生地が薄くなって光を通すようになったシャツを見ると、あれは漂白剤で洗ったのではなく漂白剤で削ったんだな、と思う。

混ぜないこと、飛ばさないこと

酸性のものと同時に使わない

塩素系のボトルに大きく書かれているまぜるな危険。あれは装飾ではない。
酸性の洗剤やクエン酸、酢と反応すると有毒なガスが出る。狭い洗面所や浴室は特に危ない。使うときは窓を開けるか換気扇をまわす。
洗濯槽の中で塩素系と酸素系を同時に使うのも避ける。素手で触らない。ついたら大量の水で流す。
においがつんと来た時点で、その空間から出る。粘る理由はどこにもない。

掃除中に飛んだ一滴が、翌週効いてくる

浴室やキッチンの掃除中、気づかないうちに服へ飛んでいることがある。
その場では何も見えない。数日後、洗濯して干したときに、ぽつんと白い点が浮かんでくる。
掃除で塩素系を使う日は、色の濃い服を着ない。エプロンをつける。共用の洗濯機を使っているなら、前の人が漂白した直後の槽に色物を入れないよう、一度空でまわしてから使う。
ノゾミさんが手に持っていた紺のシャツは、酸素系のつけおきで黄ばみが薄くなった。色はそのまま。棚の白いボトルは、今もほとんど減っていない。

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屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
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