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洗濯機にゴキブリが出る原因と、入口をふさぐ順番

深夜二時、洗面所でカサ、という乾いた音がした。
ヒカルさんは布団の中で目を開けたまま、その音が二度、三度と続くのを聞いていたという。翌朝、洗面所の床にしゃがんで排水ホースを持ち上げてみた。
床の穴とホースのあいだに、指が二本すっと入る。
「ずっとここが開いてたんだと思うと、なんとも言えない気分になりました」
洗濯機まわりに現れる虫の話は、たいていこの一か所に行き着く。洗濯槽をどれだけ掃除しても、ここが開いていれば止まらない。

目次

洗濯機の中で増えるわけではない、通ってくるだけ

主な入口は、排水口とホースの継ぎ目

駆除の業者が繰り返し説明していることがある。洗濯機の内部でゴキブリが繁殖することはない。排水溝や洗濯物、家の別の場所から入ってくる。
つまり槽の中が汚いから湧いた、という理解は的を外している。原因は建物側の隙間。
体を平たくして進めるので、ホースと床の穴の隙間があれば通れてしまう。指二本ぶんは、彼らにとって広すぎるくらいの通路。

封水が乾くと、道が開く

排水口には、水を溜めて下水の臭いと虫を止める部品が入っていることがある。排水トラップと呼ばれるもの。
これは水の膜で塞ぐ仕組みなので、長く使わないと蒸発してしまう。旅行から帰った日に虫を見た、という話がよくあるのはこのため。
確かめ方は単純で、洗濯機の下に防水パンがあるなら、トラップはほぼ付いていると考えていい。床に直接ホースが差さっている構造だと、付いていないこともある。古いアパートや借家は特に。
判断がつかないときは管理会社に聞く。取り付けられる部品があるかどうかも、そこで分かる。

洗濯機まわりが、住み心地よくできている

温かくて暗くて、少し湿っている

本体の裏側と底には、モーターや基板が収まった空間がある。稼働のあとはほんのり熱が残り、周囲は湿気を帯びている。
床との隙間は数センチしかなく、掃除機のノズルも手も入らない。人の目が届かないという条件まで揃っている。
隠れ家として、これ以上ない環境が家の中にひとつだけある。そう考えると、そこに集まる理由が理解できる。

餌になっているのは、洗剤ではない

洗濯機まわりで彼らが食べているのは、排水口に溜まった糸くずと皮脂の混ざったもの。浴室や洗面所の排水口も同じ。
それから脱衣かご。汗を吸った衣類が積まれていると、水分と有機物が同時に手に入る。
洗剤の香りに寄ってくるわけではない。においを消そうとして芳香剤を置いても、行動は変わらない。減らすべきは、排水口のゴミと、湿った衣類の滞留時間。

塞ぐ順番は決まっている

まず、トラップの有無を確かめる

排水口の蓋を外して、中を覗く。筒状の部品が入っていれば、それがトラップ。
入っていて、なおかつ水が乾いていたら、コップ一杯の水を流し込む。それだけで封水が戻る。長期の不在の前にも同じことをしておくと安心できる。
部品がなければ、後付けできるものが数百円から売られている。取り付けの可否は建物の構造によるので、管理会社に相談してから。

ホースの継ぎ目に、防虫キャップ

排水ホースと排水口の接続部に差し込む、ゴムやシリコンの部品。防虫キャップと呼ばれる。
差し込むだけ、あるいは上からかぶせるだけで終わる。忌避成分の入ったものもある。
劣化するので、年に一度は状態を見る。硬くなってひび割れていたら交換する。数百円の部品で、いちばん大きな穴が閉じる。

排水口まわりの隙間を、パテで埋める

床に直接排水口がある構造だと、口の周囲にわずかな段差や隙間が残っていることがある。ここも通路になる。
使うのは、固まらないタイプのパテ。賃貸なら特にこれ。あとから指で剥がせるので、退去のときに困らない。
貼る前にホコリと油分を拭き取る。埋めるついでに排水口の掃除も済ませると、餌と入口を同時に片づけられる。
防水の隙間テープを使う手もある。コーキング材は確実に塞げる反面、あとで剥がすのが大変なので、借りている部屋では避けたほうが無難。

やらないほうがいい三つ

洗濯槽に殺虫剤をまく

見つけた瞬間、槽の中へスプレーを噴きたくなる。ここは踏みとどまってほしい。
薬剤の成分が槽内に残り、次の洗濯で衣類に移る可能性がある。ピレスロイド系の成分はにおいが移ったり、肌に合わない人が出たりする。
布に直接吹くのも避ける。シミや変色の原因になる。

中に入ったまま、回す

自分で触りたくないから、洗濯機を回して片づけよう。この判断も、あとが面倒になる。
槽の中でばらばらになって、洗濯物に散る。結局、衣類を洗い直したうえで槽の掃除もすることになる。
手間の総量で考えると、その場で取り出すほうが圧倒的に少ない。

本体にスプレーする

洗濯機の内部や本体に殺虫剤をかけると、故障の原因になる。基板と電気部品が入っている機械だから。
排水口の周辺や、床と本体の隙間の外側。噴くならそこまで。

中にいたと気づいたときの手順

電源を切ってから取り出す

まず電源プラグを抜く。誤って動き出す事故を防ぐため。
割り箸かトングでつまんで、袋に入れて外へ出す。屋外で処理する。道具を使っても無理だという人は、自分から出てくるのを待ってから対処する。追い立てて洗濯機の下に逃げ込まれると、そこから先が長くなる。
洗面所のドアを閉めて、逃げ場を室内に広げないこと。この一手が効く。

洗い直しと、槽の洗浄

気づかずに回してしまった場合。まず槽の中を確認して、小豆のような形をした七ミリから十ミリほどの塊がないか見る。あれは薬剤や洗剤では処理できない。見つけたら高温の湯をかけてから捨てる。
衣類は洗い直す。糸くずフィルターは中身を捨てて洗う。
そのあと、短い洗濯コースに洗剤を入れて空で一回まわす。脱水までする必要はない。万一なにかが残っていても、フィルターに引っかかるので一緒に捨てられる。
気持ちの整理がつかないなら、槽洗浄コースをもう一回まわしてもいい。実務上は不要でも、そこは自分の納得のほうを優先していいと思う。

再発を止める、月に一度の五分

排水口のゴミを取る

蓋を開けて、溜まった糸くずを取り除く。歯ブラシで内側を撫でて、水を流す。三分で終わる。
排水口カバーのフィルターを貼っておく手もある。三枚で七百円ほど。汚れたら剥がして貼り替えるだけ。
浴室の排水口も同じ日にやっておくと、餌の総量が減る。使わないときは浴槽の栓をしておく習慣も効く。

脱衣かごと、洗濯機の下

湿った衣類をかごに何日も置かない。夜のうちにまわすか、風の通る場所に掛けておく。
洗濯機の下は、かさ上げ台を噛ませて数センチ浮かせると掃除ができるようになる。置き型の毒餌を、本体の裏と洗面台の下に一つずつ。目に触れない場所に置くのがこつ。
レンさんは半年かけてこの形に落ち着いた。防虫キャップ、パテ、月一の掃除、毒餌が二つ。
夜中にカサという音を聞くことは、それきりなくなったという。

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屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
節約、家事、収納、コミュニティづくりまで、みんなで暮らすからこそ生まれる知恵を発信してます。

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