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シリコンスチーマーおすすめ|3年使って残った本命と選び方

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レンジ待ちの行列でわかった、シリコンスチーマーの居場所

夜十時。キッチンの電子レンジの前に、三人が無言で並んでいた。
先頭は帰宅したばかりの咲月。二番目がジムから戻ったタケル。最後尾は私だ。
チンという音が鳴るまで、誰も口をきかない。あの沈黙、地味にしんどい。

都内のシェアハウスで暮らして三年。共用キッチンはコンロが二口、電子レンジは一台。住人は六人。この条件で自炊を続けると、調理器具の淘汰がとんでもない速度で進む。使わない道具は棚から消える。誰かが持ち込んで、二週間で埃をかぶって、実家に送り返される。そんな光景を何度も見てきた。

その中で、三年生き残った器具がシリコンスチーマーだった。

五人分の夕飯が三十分に集中する

平日の十九時半から二十時半。この一時間に、住人の食事の準備がぶつかる。
コンロ二口は先着順。鍋を使いたい人が三人いたら、単純に詰む。
だからみんな、コンロを使わない調理法に逃げた。
最初はコンビニ。次に冷凍食品。そのうち野菜不足で肌が荒れ、体重が増え、健康診断で数値が跳ねた住人が出た。私も他人事ではなかった。鏡の前で腹をつまんだとき、指がやけに深く沈んだ。あの感触は忘れない。

シリコンスチーマーが刺さったのは、この行き詰まりの真ん中だった。
野菜を切って入れる。ふたをする。レンジで四分。それだけ。
コンロを一切奪わないので、誰の順番も邪魔しない。

洗い物が半分になる、という地味な革命

共同生活で本当にきついのは、調理そのものより後片付けだ。
シンクに他人の鍋が三つ積まれている光景を見た瞬間、自炊する気が根こそぎ折れる。
シリコンスチーマーは、調理器具と食器を兼ねる。中身をそのまま食卓に出せば、洗うのは一つだけ。
茹でる、蒸す、和える、が一つの容器で完結する。
これに慣れると、鍋で湯を沸かして茹でてザルにあけて、という工程が急に馬鹿らしくなった。

買う前に決めるべきは、容量と形とふたの三つだけ

売り場に行くと種類が多すぎて混乱する。色もサイズもばらばら。値段も千円台から五千円超まで開く。
選ぶ軸は三つに絞っていい。それ以外は好みの範囲だ。

容量は一リットル前後が正解

一人分なら五百ミリリットル、作り置きなら二リットル、という説明をよく見かける。
住人六人で使い比べた結論はもっと単純で、一リットル前後を買っておけば九割の場面が回る。
小さすぎると、キャベツ四分の一で満杯になって蒸気が回らない。
大きすぎると、レンジのターンテーブルで引っかかる。うちの共用レンジでは、二リットルクラスが扉に当たって回らなかった。買ってきた住人が扉を三回開け閉めして、最後に無言で持ち帰ったのを覚えている。

自分の部屋のレンジ、あるいは共用のレンジの庫内幅を測ってから買う。これをやらない人が多すぎる。

深型は汁ごと、平型は肉と魚

形で迷ったら用途で割り切る。
深いボウル型は、水分が下に溜まる料理に強い。もやしとひき肉、スープ、カレーの温め直し、蒸し野菜全般。汁がこぼれないので、そのまま冷蔵庫に入れられる。
平たい長方形型は、食材を重ねずに並べられる。鶏むね肉、切り身の魚、餃子。厚みが均一になるので火の通りにムラが出ない。
両方欲しくなるが、最初の一つは深型を選ぶ。汎用性が違う。

ふたの密閉度で蒸し上がりが決まる

ここが一番見落とされる。
ふたがゆるいタイプは、加熱中に蒸気が逃げて、野菜がしなびる。
逆に完全密閉に近いものは、圧が抜けずにふたが跳ねる。ぷしゅっと音がして、庫内に汁が散った日は本気で焦った。
蒸気を少しだけ逃がす穴、あるいは弁のついたものを選ぶ。ふたを閉めたとき、指先に軽い抵抗がある程度がちょうどいい。
店頭で開閉できるなら、必ず一度ふたを閉めてみる。

用途別、住人の棚に生き残ったシリコンスチーマーおすすめ

ここからは、実際に三年のあいだ捨てられずに残ったタイプを挙げる。特定の一つを推すより、生活の形に合わせたほうが外さない。

毎日の野菜不足を埋めるなら、深型ボウルタイプ

一番使用頻度が高かったのがこれ。
きのこ、ブロッコリー、にんじん、ほうれん草。冷蔵庫の残りを放り込んでレンジに入れるだけで、副菜が一品立ち上がる。
ポン酢をかければ和、オリーブオイルと塩で洋。味付けは後から決めればいい。
自立するタイプだと、シンク横に置いたまま材料を足していけるので、狭い共用キッチンで場所を取らない。
折りたためるものは収納が楽だが、折り目に汚れが残る。毎日使うなら、折りたたまない硬めのボウル型のほうが結局長く持つ。

弁当と朝食を回すなら、フラットな長方形タイプ

早朝の五時半に出勤する住人が使っていたのがこれ。
前夜に鶏むね肉に塩と酒をもみ込んで入れておき、朝レンジで五分。切って弁当箱に詰める。
彼女は半年でこれを習慣にして、外食費が月に一万円以上落ちたと話していた。
平型は洗いやすさも段違い。角が浅いので、スポンジがすっと届く。

コンロも使える人には、折りたたみバスケットタイプ

鍋の中に入れて使う、花びらのように開く蒸し器。シリコン製のものは鍋を傷つけない。
茶碗蒸し、蒸しパン、点心。レンジでは再現しにくいふっくらした蒸し上がりになる。
ただしコンロを占有する。共同キッチンだと出番が限られた。一人暮らしなら話は別で、これ一つで蒸し料理の幅が一気に広がる。

器ごと派には、ミニサイズを二個

一人分ずつ作って、そのまま食卓に出す使い方。
大きい一つより、小さい二つのほうが自由度が高い。片方で野菜、片方で肉、を同時に加熱できる。
残ったらふたをして冷蔵庫へ。翌朝そのまま温める。
洗い物ゼロに近づく。この身軽さは、疲れて帰った日にじわじわ効いてくる。

加熱時間を体で覚えると、失敗がほぼ消える

説明書の時間は目安でしかない。レンジの癖と食材の水分量で、簡単に一分ずれる。
六百ワットを基準に、自分の手で調整していく。

根菜と葉物では、水の入れ方が違う

にんじん、じゃがいも、かぼちゃのような硬い野菜は、大さじ一杯の水を落としてから加熱する。四分から五分。竹串がすっと通れば完成。
ほうれん草、小松菜、キャベツは水を入れない。洗ったときについた水滴だけで足りる。二分。入れすぎるとべしゃっとして、食感が死ぬ。
きのこは水を絶対に足さない。自分から水が出る。三分で十分。
このさじ加減を三回失敗すれば、体が覚える。四回目からはもう見なくても作れる。

肉と魚は、下味をつけて放り込むだけ

鶏むね肉一枚に、塩小さじ半分と酒大さじ一。もみ込んでスチーマーへ。五分加熱して、そのまま五分放置する。
この余熱の五分を省略すると、中心が生っぽく残る。逆に加熱を伸ばすと、ぱさぱさになって噛むたびに口の水分が奪われる。
白身魚なら三分。しめじと薄切りの長ねぎを一緒に入れて、ポン酢を回しかければ完成。じゅわっと汁が出て、湯気と一緒に磯の匂いが立ち上がる。深夜に作ると、匂いにつられて誰かがキッチンに降りてくる。だいたいタケルだった。

三年使って直面した、においと劣化の現実

いい話ばかりではない。
シリコン製品には、避けられない弱点がある。

においが染みるのは、油と高温が重なったとき

野菜を蒸しているぶんには、におい移りはほとんど起きない。
問題はカレーやミートソース、油の多い肉料理を高温で長く加熱したとき。表面の細かい孔に色と香りが入り込む。一度入るとスポンジでは抜けない。
対処法は二つ。使ったらすぐ、ぬるま湯と中性洗剤で洗う。放置時間が長いほど定着する。
それでも残ったら、水を張って重曹を小さじ一入れ、レンジで三分。冷めるまで置いてから洗うと、かなり薄くなる。完全には戻らないこともある。
油物専用と野菜専用で二つ持つ住人もいた。合理的だと思う。

買い替えのサインは、色より手触り

黄ばみや薄い着色は、機能に響かない。気になるだけ。
替えどきは触ったときにわかる。表面がべたつきはじめたら、素材が劣化している。あとは、ふたを閉めたときの手応えが抜けてきたとき。密閉できなくなったスチーマーは、ただの容器に落ちる。
毎日使って二年から三年。これが実感としての寿命だった。千円台のものを二年で買い替えるか、三千円台を長く使うか。どちらでも構わない。使用頻度が高い人ほど、ふたの構造がしっかりしたものに投資したほうが結果的に得をする。

全員が買うべき道具ではない

勧めておいてなんだが、向かない人もはっきりいる。

週末だけ料理する人には要らない

時間に余裕がある日の調理なら、鍋とフライパンのほうがうまく作れる。焼き目も香ばしさも、シリコンスチーマーでは出ない。
この道具が輝くのは、疲れて帰ってきた平日の夜。あと三十分で寝たいのに何か食べたい、という状況だけだ。
週に一度しかキッチンに立たないなら、棚のスペースを別のものに使ったほうがいい。

それでも一つ買うなら、こう決める

自分の使うレンジの庫内を測る。深型のボウル型を選ぶ。容量は一リットル前後。ふたを閉めて、指に軽い抵抗があるものを取る。
これだけ守れば、外れは引かない。

先週、咲月が引っ越していった。段ボールに荷物を詰めながら、彼女は棚の隅から自分のスチーマーを取り出して、少し笑った。角が欠けて、内側が薄く色づいたやつ。
(これ、まだ使うんだ)
声には出さなかったけれど、たぶん顔に出ていた。
玄関で見送ったあと、キッチンに戻ったら、レンジの前には誰もいなかった。

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この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
節約、家事、収納、コミュニティづくりまで、みんなで暮らすからこそ生まれる知恵を発信してます。

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