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冷蔵庫の左開きが少ないのはなぜ?右利き社会と動線が生んだ必然と代替案

目次

共用冷蔵庫のドアが、いつも壁にぶつかっていた

シェアハウスのキッチンは、冷蔵庫の右側が壁になっている。共用の冷蔵庫は右開きで、ドアを開けると壁に当たって、90度までしか開かない。食材を奥から取り出そうとするたびに、半開きのドアの隙間に手を突っ込むことになる。

都内のシェアハウスに住むMさんが、そのときのことを話す。「右に壁があるなら、左開きの冷蔵庫のほうがスムーズに開くのになって。でも、いざ左開きを探そうとしたら、これがまあ見つからない。なんでこんなに少ないの?って、検索しながら首をかしげました」。

冷蔵庫の左開きが少ないのはなぜ。検索する人は、Mさんのように左開きを探して見つからず、その理由を知りたいことが多い。先に言う。左開きが少ないのは、日本人の約9割が右利きであること、日本のキッチンの動線が右開き前提であること、そしてメーカーの経済合理性、この3つが絡み合った結果だ。ただ、少ないイコール手に入らない、ではない。理由と、見つからないときの代替案を、Mさんの共用冷蔵庫をたどりながら整理していく。

まず、右開きが標準になった動線の話

なぜ右開きが主流なのか。その理由を知ると、左開きが少ない背景が見えてくる。

日本人の約9割は右利きだ。右開きの冷蔵庫なら、利き手でない左手でドアを開けて、利き手の右手で食材を取り出す、という一連の動作が最も効率的になる。この右利きの使いやすさが、右開きが選ばれる土台になっている。

さらに、日本のキッチンの動線も関係している。古くから、冷蔵庫が左、シンクが真ん中、コンロが右、という左から右への流れが推奨されてきた。このレイアウトで、一番左に冷蔵庫を置いた場合を想像してほしい。扉がシンク側、つまり右側に開く右開きでないと、冷蔵庫から取り出した食材をシンクに運ぶ動線を、開いた扉が塞いでしまう。この右利きが調理しやすい動線を優先した結果、右開きが標準モデルとして普及していった。

少なさの決定打は、メーカーの経済合理性

規模の経済で、右開きに集中する

右開きが標準になった背景に加えて、左開きを決定的に少なくしている要因がある。メーカーの経済合理性だ。

一度右開きが標準になると、需要の大半はそちらに集中する。消費者も、特にこだわりがなければ右開きを選ぶようになる。そうなると、メーカーにとっては、左開き専用の製造ラインを維持したり拡大したりするより、売れ筋の右開きモデルに開発や製造のリソースを集中させるほうが、はるかに効率的だ。

規模の経済が働いて、右開きはより安く、より多機能に進化していく。逆に左開きは、開発が後回しになる。最新機能を積んだフラッグシップモデルは、まず右開きで発売され、左開きはモデルチェンジのタイミングで遅れて登場するか、そもそもラインナップされないことも少なくない。特に300リットル以下の小型モデルでは、左開き専用は、ほぼ絶滅危惧種と言っていいほど見つからない。需要の偏りが、供給の偏りをさらに強めている。

おまけの豆知識、右開きの定義とレンジの謎

ここで、混乱しやすい点を整理しておきたい。実は、右開きという言葉の意味を、多くの人が逆に理解している。

メーカーや販売店の表記では、右開きとは右に向かって扉が開くこと、つまり扉の向かって左側にある取っ手に手をかけて、右に向かって開けるタイプを指す。取っ手の位置で判断すると勘違いしやすいので、注意したい。左開きは、型番の末尾にエルの文字がつくことで見分けられる。

ちなみに、電子レンジは左開きが多いのに、冷蔵庫は右開きが多い。これは用途の違いによる。レンジは右側にスイッチ類を置くので、右利きが操作しやすいよう左開きになる。冷蔵庫は物を持って出し入れする作業が中心なので、右開きが使いやすい。同じ右利き向けでも、機器の使い方によって開く向きが変わる、というわけだ。

左開きが必要なのは、こういう人

左利きの人と、右側が壁の間取り

左開きが少ないとはいえ、左開きのほうが使いやすい人は確かにいる。まず、左利きの人だ。左手でドアを開けながら、右手でスムーズに食材を出し入れできる。

そして、Mさんのように、キッチンの右側に壁がある間取りの人だ。右側に壁がある場所に右開きの冷蔵庫を置くと、ドアが壁に当たって90度までしか開かず、食材の出し入れがしにくくなる。その点、左開きなら、右側に壁があってもドアをスムーズに開けられる。左手でドアを開け、右手で食材を取り出し、そのまま体の回転だけで右側のシンクへ置ける。これが、右側に壁がある環境での正解の動線になる。ドアが体の動きを助けるのか、邪魔をするのか。この違いは、毎日の家事の快適さに直結する。

左開きが見つからないときの、3つの代替案

まず、メーカー取り寄せを聞いてみる

左開きが見つからないとき、最初に試したいことがある。実は、展示や表示がないだけで、取り寄せできることが多い。

300リットルから500リットルの片開き冷蔵庫の場合、家電量販店は、売れ残りやすい左開きを展示しないことがほとんどだ。通販サイトも、在庫リスクを嫌って左開きの在庫を持たないことが多い。だから表示されない。でも、メーカー自体は製造している、という状態は少なくない。メーカー取り寄せができる家電量販店で聞いてみると、意外と見つかった、となる可能性がある。ないと決めつける前に、店員に取り寄せを相談してみる価値はある。

どっちもドアと観音開きという逃げ道

取り寄せでも希望のものがなければ、開く向きの制約から逃げる方法がある。

ひとつが、両開き、いわゆるどっちもドアだ。シャープが長年採用している独自の方式で、扉の両サイドに蝶番があり、押す方向によって右にも左にも開く。利き手や間取りに左右されず、引っ越しで設置場所が変わっても常に最適な向きで開ける。特に小型サイズで左開きが欲しいなら、シャープのつけかえどっちもドアが、実質的に唯一に近い選択肢になる。これは、最初は右開きで、後からヒンジを付け替えて左開きにできる方式だ。

もうひとつが、観音開き、いわゆるフレンチドアだ。400リットル以上の大型モデルで主流で、ドアが中央から左右に分かれて開く。ドア1枚あたりの幅が狭いので、開閉時に前へ飛び出すスペースが最小限で済み、通路が狭いキッチンでも動線を確保しやすい。ただし、壁際に置く場合、壁側のドアは90度以上開かないと内部の引き出しと干渉することがあるので、壁側のすき間の確認は必要だ。

後から改造はできない、壁の位置確認が最重要

最後に、大事な注意点がある。右開きから左開きへ、後から改造することは基本的にできない。

メーカーもこうした改造はサポートしていないし、片開きの冷蔵庫は物理的に不可能だ。無理に改造すれば、冷えない、電気代が異常にかかる、といった不具合が起きる。先ほどのつけかえどっちもドアのように、最初から付け替えを想定した機種でなければ、向きは変えられない。

だからこそ、購入前の壁の位置と動線の確認が、失敗しないための唯一にして最大のポイントになる。冷蔵庫を置く場所の、どちら側に壁があるか。ドアを開けたときに壁やシンクにぶつからないか。この確認を飛ばすと、Mさんの共用冷蔵庫のように、毎日ドアが壁に当たるストレスを抱えることになる。ちなみに、左開きは中古で売りにくいという難点もある。需要がニッチなので、買取査定が低くなったり、買い手がつきにくかったりする。転勤が多い人や賃貸暮らしなら、環境に左右されにくい両開きや観音開きのほうが、将来の安心につながる。

シェアハウスの共用冷蔵庫を、動線に合わせた話

Mさんの共用冷蔵庫は、次の買い替えでどうなったか。

メンバーで相談して、右に壁がある配置に合わせて、シャープのどっちもドアの冷蔵庫を選んだ。「左開きの状態にして使ってるんですけど、右の壁にドアが当たらなくなって、奥の食材もスッと取れるようになって。前は半開きの隙間に手を突っ込んでたのが嘘みたいです」。取り寄せの相談もしたが、どっちもドアなら将来レイアウトを変えても対応できると考えて、こちらにしたという。

共用の冷蔵庫だからこその発見もあった。「みんなで使うと、右利きの人も左利きの人もいるんですよ。どっちもドアなら、誰が使っても開けやすい向きで開ける。左開きにこだわらなくても、両方から開けられるほうが、共用にはむしろ合ってたんです」。利き手の違うメンバーがいるシェアハウスでは、開く向きを選べることが、思わぬ利点になったという。

見えてきたのは、冷蔵庫の左開きが少ないのは、右利き社会と日本のキッチン動線が生んだ必然だという事実だった。でも、少ないイコール手に入らない、ではない。メーカー取り寄せを聞き、どっちもドアや観音開きという逃げ道を知り、何より買う前に壁の位置を確認する。これを押さえれば、右が壁の間取りでも、動線に合った一台を選べる。ドアが壁にぶつかって首をかしげたあの日から、Mさんの共用冷蔵庫は、動線に沿ってスムーズに開くようになった。

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この記事を書いた人

屋根の下の知恵袋TOKYOシェアライフ

都内シェアハウス住民によるリアルな生活ハック発信中。
節約、家事、収納、コミュニティづくりまで、みんなで暮らすからこそ生まれる知恵を発信してます。

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